2012 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクス発現調節機構の破綻に基づく自閉症病態の解明
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23791156
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
三宅 邦夫 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (60550712)
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Keywords | エピジェネティクス / レット症候群 / MeCP2 / DNAメチル化 / 自閉症 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
レット症候群の原因がメチル化DNA結合蛋白質であるMeCP2(methyl CpG binding protein 2)の異常であることが明らかにされた。MeCP2は生後の脳発達期から発現が増加し、遺伝子発現調節を行う重要な転写因子である。これまでにMeCP2の標的遺伝子の探索は多数行われており、約20種の遺伝子が報告されているが、依然としてこれまでに報告された標的分子と自閉症病態との関連は不明のままである。一方で、自閉症疾患を始めとした神経発達障害がシナプス形成や機能異常と関連していることが報告されており、「自閉症のシナプス仮説」が提唱されている。自閉症の原因としてシナプス間の細胞接着に関わる分子やシナプスの足場蛋白受容体などさまざまなシナプス関連分子の発現・機能異常が報告されている。しかしながら、「MeCP2標的遺伝子の発現異常」と「シナプス形成・機能異常」を結び付ける自閉症の分子メカニズムはほとんどわかっていない。われわれはクロマチン免疫沈降法を用いた網羅的なMeCP2結合部位の探索を行い、シナプス形成に関与する新規MeCP2標的遺伝子を同定することを目的とした。その結果、最近、新たなMeCP2標的シナプス関連分子であるLIN7A、PCDHB1、PCDH7を同定した。レポーターアッセイやMECP2ノックダウンによる遺伝子発現解析から、従来報告されているメカニズムと同様にPCDHB1及びPCDH7はMeCP2により遺伝子発現が抑制されていることがわかった。一方で、LIN7AはMeCP2によって遺伝子発現が促進されることを明らかにした。この発見は近年、MeCP2はプロモーター領域のメチル化DNAに結合し遺伝子発現を抑制するだけでなく、促進にも作用するという報告と一致し、MeCP2による遺伝子発現が促進される具体的な遺伝子として初めての発見である。
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Research Products
(3 results)