2012 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児閉塞型睡眠時無呼吸症候群の診断基準の確立と病態解明、治療効果の検討
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23791157
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
杉山 剛 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (30436878)
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Keywords | 睡眠時無呼吸症候群 / 睡眠呼吸障害 / 小児 / 診断基準 / 簡易検査 |
Research Abstract |
1.乳幼児SDBの循環への影響 乳幼児のSDBの循環動態への影響を明らかにするため、心臓超音波検査を行い、三尖弁逆流から推測した右房‐右室間の圧較差、および左室駆出率をSDB群とnon-SDB群とで比較したところ両群間に有意差は認められなかった。さらに心房ナトリウム利尿ペプチド(ANP)値、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値についても両群間で比較したが、ANPがSDB群で高い傾向を認めたものの、ともに両群間で有意差は認められなかった。 2.乳幼児SDBに対するAdenotonsillectomy(AT)後の免疫学的変化 AT前とAT6ヶ月後の血清免疫グロブリン値を比較した。血清IgG、IgA、IgM値(平均値mg/dL±SD)はAT前がIgG 1071.6±307.1、IgA 124.6±48.7、IgM 126.5±51.5、AT後6ヶ月が1016.2±269.1、106.8±38.8、124.5±47.9であり、統計学的に血清IgA値の有意な低下を認めた(p<0.01)。しかし、この変化は血清IgA値の3-7歳における基準値内での変動であった。さらに、AT後に保護者に対し行った質問紙法による調査では、「風邪を引きにくくなった」50%、「急な発熱が減少した」46.2%、「鼻汁が出ないようになった」38.5%と、AT後、感染機会はむしろ減少していた。 3.山梨県における乳幼児OSAS診断システムの確立 OSASが疑われる山梨県内の小児のほぼ全例を当科に集約し精査を行い、AT適応症例は県内数ヵ所の耳鼻咽喉科でATを行った後、当科で術後1,3,6,12ヶ月後のフォローアップまでを一貫して行う「山梨システム」を本研究期間中に構築しえた。さらに、本研究により確立した「乳幼児SDB精査クリニカルパス」を用い、県内の二次病院における検査体制を確立し24年7月から運用を開始した。
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Research Products
(10 results)