2012 Fiscal Year Annual Research Report
セレウス菌感染によるライ様症候群の臨床像および病態に関する研究
Project/Area Number |
23791176
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
小林 弘典 島根大学, 医学部, 助教 (70397868)
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Keywords | 脂肪酸代謝障害 / ミトコンドリア / セレウス菌 / セレウリド / タンデムマス / アシルカルニチン |
Research Abstract |
1.セレウス菌感染症に伴う脂肪酸代謝障害を来した症例の集積 セレウス菌感染症による脂肪酸代謝障害を来した臨床例を集積するため、タンデムマスを用いてアシルカルニチン分析による代謝スクリーニングを行った。平成24年度はろ紙血 909検体、血清 221検体を分析した。今年度の分析症例の中からはセレウス菌感染症による脂肪酸代謝障害をきたした症例を発見出来なかった。前年度に脂肪酸代謝障害をきたしセレウス菌感染症を疑われていた2症例についてはいずれもセレウス菌感染症が否定的と判断するに至った。また、セレウス菌感染を同定した2症例を再度詳細に検討を行った結果、そのうち1症例は溶血所見などが強く、遊離カルニチン、長鎖アシルカルニチンン等の上昇が非特異的上昇である可能性が強く疑われた。 2.培養皮膚線維芽細胞を用いたセレウリドの脂肪酸代謝への影響の検討 前年度は、申請者らが既に確立している培養皮膚線維芽細胞を用いたin vitro probe assayを応用してセレウス菌(Bacillus cereus)から分泌される毒素であるセレウリドが脂肪酸代謝異常症に及ぼす影響を検討し、中鎖から長鎖脂肪酸の代謝が広汎に障害される事を確認した。本年度は脂肪酸代謝異常症に有効性が期待されるベザフィブラートの投与による効果の検討を試みたが、実験系の確立が困難であった。セレウリドがミトコンドリア膜を破壊すると考えられることから、脂肪酸代謝異常症のみならずミトコンドリア障害の病態が前面になることが示唆された。今回は培養温度による脂肪酸代謝能の評価は出来なかった。
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