2011 Fiscal Year Research-status Report
GLP-1による中枢性交感神経系賦活における孤束核ノルアドレナリン神経系の役割
Project/Area Number |
23791182
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山本 雅樹 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (20571037)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | GLP-1 / 視床下部室傍核 / プロスタノイド / ノルアドレナリン |
Research Abstract |
Glucagon-like peptide-1(GLP-1)は、末梢神経系のみならず、中枢神経系にも存在することが知られている。申請者の研究室では、麻酔ラット脳室内に投与したGLP-1 が、脳内プロスタノイド依存性に血中カテコラミンを増加させることを既に報告している(Arai et al., 2008)が、GLP-1 受容体が高濃度に発現する延髄弧束核のノルアドレナリン神経およびその投射先である視床下部室傍核において、内因性のプロスタノイドがオータコイドとしてノルアドレナリン神経系に対してどのように作用するのかは未だ明らかではない。そこで本年度はウレタン麻酔したラット脳室内に投与したGLP-1が、α1アドレナリン作動性受容体賦活およびその下流のPLC-DG lipase-MG lipase 経路から産生されるアラキドン酸に依存して血中カテコラミンを増加させるのか否かを各種受容体遮断薬、酵素阻害薬を用いて薬理学的に解析した。本研究ではウレタン麻酔下(1.2 g/kg, i.p.)でウイスター系雄性ラット(体重 約300g)の鼠径動静脈にカニューレを留置し、鼠径動脈からは経時的に採血し、鼠径静脈へは生理食塩水を注入した(1.2 ml/時間)。ラットを脳定位に固定し、GLP-1および種々の遮断薬、阻害薬は側脳室内へ微量注入した。血漿カテコラミンは、アルミナ抽出した後、高速液体クロマトグラフィーを用いて電気化学的に測定した。現在αアドレナリン受容体遮断薬、PLC阻害薬、DG阻害薬による実験成績は、統計処理可能なところまで蓄積している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は脳室内投与したGLP-1による血中カテコラミン増加に及ぼすαアドレナリン受容体遮断薬、PLC阻害薬、DG阻害薬の効果を検討した。ほぼ予定どうりに進めることができたが、実験中に死亡する個体もあったため、統計処理可能な匹数まで至らなかった実験群もあった。これらについてはさらに例数を増やす予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
GLP-1は中枢神経系にも存在することが知られており、脳内GLP-1産生細胞が延髄弧束核尾側に局在し、弧束核からの上行性GLP-1含有神経線維およびGLP-1Rは、視床下部をはじめ視床、大脳皮質にわたり広範囲に分布することがすでに明らかにされている。従ってGLP-1は脳内においてはホルモンとしてではなく神経伝達物質/神経伝達調節因子として作用しうると推察されるが、詳細な作用機序についてはいまだ明らかではない。本研究では延髄弧束核から視床下部室傍核に投射するノルアドレナリン神経系に焦点をあて、脳マイクロダイアリシス法をもちいて、α1アドレナリン作動性受容体賦活およびその下流のPLC-DG lipase-MG lipase 経路を介して産生されるアラキドン酸に依存して脳内GLP-1 が血中カテコラミンを増加させるのか否かを検証する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は主に実験動物(ラット)以外に、脳マイクロダイアリシス法に用いるダイアリシスプローブ、送液ポンプ用ジョイントチューブ、各種遮断薬の購入に使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)