2012 Fiscal Year Annual Research Report
小児自己免疫疾患における粘膜免疫系の機能解明と粘膜誘導型免疫寛容療法の開発
Project/Area Number |
23791185
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀧本 智仁 九州大学, 大学病院, 特任助教 (50599511)
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Keywords | TGF-β / Smadシグナル / 免疫寛容 / T細胞 |
Research Abstract |
TGF-βは、過去に報告されたTGF-β欠損マウスやその下流シグナル分子であるSmadの欠損マウスの表現型から生体の免疫学的恒常性の維持に不可欠な液性因子と考えられている。更に、近年TGF-β-Smadシグナルは制御性T細胞の分化・機能に必須な転写因子であるFoxp3の発現誘導及び発現維持に寄与する。また、腸管は腸管粘膜免疫系のみならず、腸管内に存在する腸内細菌や食物抗原などの多様な抗原刺激を処理することで、全身の免疫システムの構築に重要な役割を果たすことが近年明らかとなっている。これらの知見に基づき、腸管粘膜免疫系の異常とヒト免疫疾患との関連性を明らかとする為に、腸管内に豊富に存在する抑制性サイトカインであるTGF-βに着目し、種々の小児免疫疾患における同サイトカインのシグナル異常の検索を行うこととした。 申請者らは、Smad結合領域である5'-AGAC-3'をルシフェラーゼ遺伝子につないだレポータープラスミドと制御性T細胞のマスターレギュレーターであるFoxp3のプロモーター領域とSmad結合領域を含んだエンハンサー領域をルシフェラーゼ遺伝子につないだレポータープラスミドを作製した。TGF-βによって活性化される主な転写因子はSmad2とSmad3であり、Smad3はDNAに直接結合するが、Smad2は他の転写因子と会合することで転写調節を行う。上記のレポータープラスミドを導入した健常ヒトCD4陽性T細胞において、Smad2とSmad3をそれぞれ単独で強制発現した場合、Smad2/3を強制発現しない場合よりも有意なルシフェラーゼ活性の上昇を認めており、Smad2とSmad3はそれぞれ独立して転写活性を有すと推測された。今回確立したレポータ解析系は、ヒト免疫疾患におけるTGF-β感受性の異常及びFoxp3陽性制御性T細胞の分化異常の検索に有用であると考えられる。
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