2012 Fiscal Year Annual Research Report
ベックウィズ・ビーデマン症候群の父性ダイソミー多様性と腎泌尿器症状の関連性の解明
Project/Area Number |
23791186
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大塚 泰史 佐賀大学, 医学部, 助教 (50448479)
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Keywords | Beckwith Wiedemann症候群 / 父性片親性ダイソミー |
Research Abstract |
UPDが原因であるBWS31症例(男性9名、女性22名)の遺伝学的多様性を解析した。①モザイク率:11p15.5におけるマイクロサテライトマーカー解析を行い、モザイク率は62%であり、症例の55%が高度モザイク率であった。②UPD範囲:SNPアレイを用いUPD範囲をゲノムワイドに解析した結果、87%が11番染色体短腕に限局し、10%が長腕に及ぶsegmental UPD(SEUPD)であった。一方で4例(13%)は、1~22の染色体でUPDとなるゲノムワイド父性ダイソミー(GWUPD)であった。③包括的メチル化解析:MassARRAYを用いて30のインプリント遺伝子のメチル化解析を実施した。SEUPDは11p15.5のH19DMR高メチル化、KvDMR低メチル化以外のメチル化異常は認めなかった。一方GWUPDは殆どのインプリント遺伝子でメチル化異常を伴った。④表現型と遺伝学的多様性との関連:SEUPDにおいて巨舌をはじめとする13症状は、モザイク率やUPD範囲との相関はなかった。しかし在胎週数は、モザイク率とUPD範囲との複合指標において、負の相関を認めた。またGWUPDは、発達障害、心奇形、胎児性腫瘍をSEUPDよりも高率に合併していた。⑤11番染色体における体細胞組み換え共通モチーフ配列の検索:解析可能であったSEUPD21症例において、UPDとheterozygosisとの境界領域配列を統計学的に解析した。結果、GCNGGGをはじめとする共通モチーフ6配列を検出した。 UPDを原因とするBWSを解析し、遺伝学的多様性と腎泌尿器をはじめとする臨床像との関連はなかったが、GWUPDを多く認めたことは新しい知見である。また詳細なゲノム解析により、体細胞組み換えを惹起すると考えられる共通モチーフ配列を検出したことは、今後の研究の発展に寄与すると考えられる。
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