2011 Fiscal Year Research-status Report
C型肝炎ウイルスの変異及び免疫複合体が母子感染に与える影響についての検討
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23791192
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
横山 孝二 自治医科大学, 医学部, 講師 (50528495)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | HCV / 超可変領域 / HVR |
Research Abstract |
HCV母児感染例について、乳幼児期のHVRの経時的な変化を追跡した。HCVは同一宿主内に複数の変異体(quasispecies)を有するとされているが、母児感染を来す際にウイルスが選択を受け、単一のウイルスが感染を来すと考えられていたが、我々の実験で、感染時には複数の変異体が感染を来し、3-5か月時に単一株になることが判明した。移行抗体及び宿主の獲得免疫が関与していると考えている。生後早期の検体が1症例のみしかないことから、今後症例の集積が必要と考えている。母児感染後の自然陰性化には、ウイルス側の要因としてHVRの変化が関与していると考えている。単一株に選択を受けた後にquasispeciesにdrasticな変化が起きた場合には持続感染となり、ほとんど変異を来さない場合には一過性感染となるという仮説を立て、解析を行った。一過性感染例ではquasispeciesにdrasticな変化はなかったが、持続感染例のなかにも同様の経過のものがあり、今後検討が必要であると考えている。母児感染後の自然陰性化について、宿主側の要因としてIL28Bの一塩基多型(SNPs)の関与が示唆されている。そこで当科で経過観察中の母児感染例について、持続感染例 6例と自然陰性化例 4例のIL28Bの解析を行った。持続感染例 1例がminor alleleであったが、それ以外は前例がmajor alleleであった。解析の過程で1症例が2b/1b recombinant株であることが判明した。同株の全塩基配列の解析を行い、recombinantのcrossover pointを決定した。内容をArchives of Virologyに論文として投稿し掲載された。また同症例に対しペグインターフェロン/リバビリン併用療法を行い、sustained virologica responseを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HVR、IL28Bの解析はほぼ終了しており、今後はその解析を進める予定としている。H24年度は、免疫複合体と自然陰性化についての検討を行う方針としている。検体の選定及び実験計画は立てており、順次実験を開始する予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
HVRの解析結果について、遺伝子型別での評価、特定の部位でのアミノ酸変異についての検討を進める。併せて、免疫複合体形成と自然陰性化についての解析を進める。従来法によるクローニング解析に加えて、次世代シーケンサーを用いてメタ解析を行い両者の違いを検討する方針としている。研究成果は、随時学会発表、論文作成の形で公表していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は主にRNA抽出、PCR、クローニングによるcDNAの解析、次世代シーケンサーによる解析に用いる試薬購入に充てる。また一部は学会発表にかかる旅費、論文投稿、備品購入に充てる。
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Research Products
(2 results)