2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23791195
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
菅沼 栄介 東海大学, 医学部, 講師 (60408010)
|
Keywords | 川崎病 / 酸化ストレス / Nrf2遺伝子 / Keap1遺伝子 / アポトーシス |
Research Abstract |
酸化ストレスは循環器領域において動脈硬化や心筋梗塞の増悪因子として知られている。川崎病の冠動脈病変と酸化ストレスの関連性については不明である。酸化ストレスに高い感受性を有するNrf2ノックアウト(KO)マウスに対して乳酸菌の抽出物であるLactobacillus casei cell wall extract(LCWE)を腹腔内投与することで冠動脈炎を誘発しNrf2遺伝子が川崎病の冠動脈病変に与える影響を検討した。6-8週令の雄のNRF2KOマウス(n=10)とWild type(n=10)マウスにLCWEを腹腔内投与し冠動脈炎を誘発し両群での炎症の程度を比較した。Nrf2の標的遺伝子であるHo-1、NQO-1mRNA値は、Nrf2KOマウスでは有意に抑制されていた。予想に反して、冠動脈炎の重症度スコアはNrf2KOマウスでWTマウスと比較して2週後(WT:7.0±0.8vs Nrf2:4.0±1.0 p=0.015)、4週後(WT:7.0±1.1 vs Nrf2:3.7±0.7、p=0.012)共に有意な抑制をみた。さらに血清TNF-α、IL-1β、IL-6、MCP-1などの炎症性サイトカインは、Nrf2KOマウスで有意な抑制をみた。 Nrf2KOマウスの末梢血中マクロファージは超急性期に一過性の強い誘導を認めたが、亜急性期には脾臓におけるTUNNEL陽性細胞(アポトーシス)が著明に亢進していた。つまりNrf2遺伝子欠損は、酸化ストレス促進により急性期の炎症を増強する一方で、脾臓におけるアポトーシス誘導を促し冠動脈炎を鎮静化するという2つの側面を持つという新たな発見があった。
|