2012 Fiscal Year Annual Research Report
小児型ポンペ病患者由来iPS細胞を用いたポンペ病心筋細胞の病態解析
Project/Area Number |
23791196
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
樋口 孝 東京慈恵会医科大学, 医学部, その他 (30595327)
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Keywords | ポンペ病 / 人工多能性幹細胞 / 酸性αグルコシダーゼ |
Research Abstract |
平成24年度(最終年度)は前年度(平成23年度)に達成できなかった研究『心筋分化誘導効率の改善』、『心筋細胞拍動開始日の検討』と、当初予定していた平成24年度の研究『ポンペ病iPS細胞の解析』、『ポンペ病iPS細胞を用いた酸性αグルコシダーゼの治療効果の解析』、『ポンペ病iPS細胞由来心筋細胞の機能解析』を行った。【研究概要】『心筋分化誘導効率の改善』DNA脱メチル化剤を用いて心筋分化誘導効率の改善を試みたが、大きな改善は見られなかった。また最新の論文を参考に、心筋への分化誘導効率の改善や心筋細胞の濃縮を試みたが、分化効率の大きな改善はなく、濃縮も出来なかった。iPS細胞や胚様体の細胞死を抑える目的でROCK阻害剤を多用していたが、ROCK阻害剤はミオシンの活性化を阻害するという報告があることから、ROCK阻害剤がiPS細胞の心筋への分化誘導を阻害していた可能性がある。『心筋細胞拍動開始日の検討』正常iPS細胞由来心筋細胞とポンペ病iPS細胞由来心筋細胞の拍動開始日を比較したが、相違は見られなかった。『ポンペ病iPS細胞の解析』正常iPS細胞とポンペ病iPS細胞の細胞内構造を比較すると、ポンペ病iPS細胞のライソゾームの中にグリコーゲン顆粒が存在していた。『ポンペ病iPS細胞由来心筋細胞の機能解析』心筋細胞への分化誘導効率が予想よりも低く、解析には至らなかった。『ポンペ病iPS細胞を用いた酸性αグルコシダーゼの治療効果の解析』酸性αグルコシダーゼをポンペ病iPS細胞の培養液中に添加したところ、グリコーゲン顆粒は減少した。この研究結果は細胞培養実験系においてポンペ病iPS細胞のグリコーゲンの減少が確認できた初めての例である。
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