2011 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫系、粘膜免疫系遺伝子を中心とした食物アレルギー関連遺伝子の探索
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23791204
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
広田 朝光 独立行政法人理化学研究所, 呼吸器疾患研究チーム, 研究員 (50435674)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / 遺伝子多型 / 疾患関連遺伝子 |
Research Abstract |
近年、日本における食物アレルギーの有病率は年々増加傾向にあるが、食物アレルギーおよび食物アナフィラキシーの発症や重症化の要因を探り、その予防や重症化を防ぐための研究は未だ途上にある。食物アレルギーはアトピー性皮膚炎や気管支喘息の発症などアレルギーマーチにおける第一段階であり、本研究で得られた知見により、この部分を積極的に予防または治療を行い、アレルギー疾患の多重罹患を防ぐことにつなげたいと考えている。1. 食物アレルギー患者群(以下、FA群)、健常対照群(以下、対照群)の検体収集: 遺伝学的な解析の信頼性をより高めるためサンプルサイズの増加を行った。現在までにFA群を約500検体、対照群を約2000検体収集した。2. 候補遺伝子アプローチによる関連解析: 自然免疫系、粘膜免疫系遺伝子としてTSLP, IL33, IL1 cluster領域の遺伝子について関連解析を行った。これらの遺伝子は近年、ヨーロッパを中心としたFAと同様にアレルギー疾患の1つである気管支喘息のゲノムワイド関連解析でゲノムワイド基準をみたす有意な関連が認められた領域である。これまでにTSLP遺伝子の約5kbp上流に存在するSNPにおいてFAと有意な関連を認めている (p value<0.05)。FA検体には詳細な臨床情報があるので、表現型により層別化した解析も進行中である。3. TSLPの転写調節領域のリシークエンス: TSLPの遺伝子領域(上流、下流約5kbpを含む)について遺伝子多型を抽出するために、日本人12検体を用いてリーシークエンスを行い、連鎖不平衡マッピングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画の通り候補遺伝子アプローチにより関連解析を行い、食物アレルギーの関連遺伝子を同定することができたため。また、同定した遺伝子についても機能解析を行うための準備にも着手し始めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度にFA関連遺伝子として同定したTSLP遺伝子に関して、より詳細な遺伝子多型情報の取得と関連遺伝子の機能的解析を行う。また、他人種における海外施設の報告について日本人について検討を行うとともに、引続き、食物アレルギー関連遺伝子の探索を続ける。1. 詳細な遺伝子多型情報の取得: 初年度に行った連鎖不平衡マッピングの情報をもとに代表的な遺伝子多型(Tag SNP等)を選出し、FA群の約500検体、対照群の約2000検体を用いてGenotypingを行う。これによりFAの疾患罹患性と関連の強い遺伝子多型を探索する。2. 細胞株での作用機序に関する機能解析: 1.により特定された遺伝子多型に関して、種々の細胞株での発現情報を収集するとともに、その遺伝子多型の各アレルによる機能の差を検討し、誘導または抑制刺激の有無による影響を検討し、その生物学的意義について検証を行う3. 候補遺伝子アプローチによるFA関連遺伝子の探索: 免疫学的知見やFA以外のアレルギー疾患での関連解析の情報から、自然免疫系、粘膜免疫系遺伝子を中心に候補遺伝子アプローチにより関連解析を引続き行う。4. Replication Study: 本研究で得られたFA関連遺伝子に対して、再現性の確認をとるため、国内(同一人種)、国外(他人種)の研究施設との共同研究よるReplication studyを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
候補遺伝子の探索を行うためにGenotyping関連の試薬消耗品、また同定した遺伝子多型の疾患罹患性に対する作用を検討するための細胞培養、遺伝子発現、クローニング関連の試薬消耗品として研究費を使用する予定である。
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Research Products
(12 results)