2012 Fiscal Year Research-status Report
RSVの細胞感染およびウイルス複製に関与する宿主因子の特定
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23791205
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
白戸 憲也 国立感染症研究所, ウイルス第3部, 主任研究官 (40415477)
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Keywords | RSV / MDCK |
Research Abstract |
これまでの実験で、ヒト肺由来ライブラリーまたはHeLa細胞由来ライブラリー導入MDCK細胞群より、RSV感受性化をした細胞クローンをいくつか得ることができた。これらのうち肺由来ライブラリーからはクローン番号E6、HeLa細胞由来ライブラリーからはクローン番号D2Hの細胞を用いることとした。MDCKと比べて、RSVの複製効率はE6で10倍、D2Hで100倍であることが確認できた。これらの細胞は、ハウスキーピング遺伝子をRT-PCRで増幅し、遺伝子配列を確認することでMDCK由来であることが確認できている。したがってRSV感受性化したのは感受性細胞のコンタミネーションではないと言える。 MDCKをコントロール、E6およびD2Hを対象として3D-Geneチップによるマイクロアレイ解析をそれぞれで行い、E6とMDCKおよびD2HとMDCKの組み合わせで共通して発現の多い遺伝子をいくつかピックアップしすることができた。今後はこれらの遺伝子をひとつずつクローニングし、発現細胞を作製してRSV感受性を確認していくほかない。 また、これまでMDCK細胞をRSV低感受性細胞として用いており、実際これまでの実験ではMDCK細胞がHEp-2やHeLa細胞を同等のRSV感受性を示すことはなかった。しかし偶然ではあったが、MDCK細胞を低濃度でプレートに用意し、RSVを感染させると、HEp-2に匹敵するウイルス複製を示すことが分かった。MDCKがRSVに低感受性を示すには、細胞を高濃度で用意する必要があることも分かった。MDCKは高度なタイトジャンクションを形成することで知られており、これらタイトジャンクション関連分子がRSV感染および複製を阻害している可能性も考えられる。今後はこちらの可能性も検討していきたいと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RSV感受性化したMDCK細胞クローンをいくつか得られ、それらを用いたマイクロアレイによって、RSV感染に関連すると想定される遺伝子のピックアップを行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はピックアップされた遺伝子のクローニングを行い、MDCKに形質導入して安定発現細胞を作り、RSV感受性の検討を行う。RSV複製が確認できれば、その候補遺伝子を抗体でブロック、またはsiRNA等でノックダウンまたはノックアウトしたのち、再度RSV感受性を調べることで、RSV複製に関与していることの確認を行う。 また、これまでMDCKをRSV低感受性細胞として用いてきたが、MDCKは感染条件によっては実は感受性を示すことが分かってきた。したがってMDCKがRSVに対する低感受性を示す条件を詳細に検討し、またRSV複製を阻害している因子を検討していきたいと思う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞クローニングのためのトランスフェクション試薬、候補遺伝子が特定できた場合は抗体やsiRNA等を購入必要があるため、主に消耗品費として用いる。 また最先端の情報収集を行うために2013年度のアメリカウイルス学会に参加する予定である。
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