2012 Fiscal Year Annual Research Report
精神遅滞・広汎性発達障害におけるシナプス機能分子の遺伝子解析および機能異常の検証
Project/Area Number |
23791207
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
和賀 央子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第二部, 科研費研究員 (80462795)
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Keywords | X連鎖性精神遅滞 / 広汎性発達障害 / シナプス / 遺伝子検査 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
精神遅滞および広汎性発達障害は、中枢神経系の発達的機能獲得不全を原因とする疾患である。そこで、本研究では精神遅滞・広汎性発達障害の原因となる遺伝子変異の特定とその遺伝子変異に起因する病態の分子レベルでの解明、さらに日本人における変異頻度の実態の把握を目的として、精神遅滞・広汎性発達障害患者ゲノムレポジトリーを用い、疾患との関連が報告さているシナプス関連分子(SHANK3, SYP, RAB39B, GRIA3)を中心に遺伝子解析を行った。本年度では前年度に引き続き、新たに120例の患者でSHANK3遺伝子の解析を行い、その結果、SNPデータベースに登録のない新たなミスセンス変異7種を9例の患者から見いだし、さらにintron 10およびintoro11の領域にも新たな変異5種を6例の患者から見いだした。申請者は、intron10から複数のSHANK3アイソフォームが発現していること、さらにこの領域に女児特有の言語・運動発達遅延、知能障害を呈するレット症候群の原因分子であるmethyl CpG binding protein 2 (MeCP2)が結合し、そのアイソフォームの発現制御に関わっていることを見出している(論文投稿中)。今後検出された変異がMeCP2との結合およびアイソフォームの発現に及ぼす影響の検討が必要と考えられる。また、本研究では日本人の精神遅滞・広汎性発達障害患者におけるSYP, RAB39B,GRIA3遺伝子の変異の頻度は非常に低いことも明らかとなった(SYP:1.1%, RAB39B: 0%,GRIA3: 0%)。これまで本疾患の原因として400以上の遺伝子が報告されていることから、患者個々の原因を特定するにあたり、今後は次世代シークエンサーを用いた関連遺伝子の網羅的解析を行うことが有効であると考えられた。
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Research Products
(1 results)