2011 Fiscal Year Research-status Report
ライソゾーム病モデル動物に対するヒトiPS細胞及び体性幹細胞による治療戦略の創成
Project/Area Number |
23791208
|
Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
神崎 誠一 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 研究員 (20589741)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | ライソゾーム病 / 成育医療 / 再生医療 |
Research Abstract |
ライソゾーム病のひとつであるサンドホフ病(SD)は、ライソゾーム酵素βヘキソサミニダーゼのβ 鎖遺伝子(HEXB)の遺伝的欠損により、基質であるGM2 を主体とする糖脂質、オリゴ糖などが主に中枢神経系の神経細胞等のライソゾームに蓄積し、重症型では重篤な神経症状を呈して乳児期に死亡する病気である。現時点では細胞移植治療は先天性代謝異常症に対する唯一の根治治療法であり、今後これらの細胞を用いた安全的かつ安定的な新規細胞移植治療の開発が切望されている。本研究はヒト間葉系(幹)細胞およびヒトiPS 細胞をライソゾーム病のモデルマウスに対して移植し、治療効果および安全性を総合的に解析・評価することを目的としている。今年度の実績:(1)細胞種の検討-細胞移植治療に有用な細胞種を検討するため、当研究室で樹立されているヒト由来の間葉系(幹)細胞および多能性幹細胞のβヘキソサミニダーゼ遺伝子の発現をgene chip解析により検討した結果、胎盤由来細胞等の遺伝子発現が高いことが明らかになった。(2) 酵素活性の検討-gene chip解析で有用と考えられた細胞およびiPS細胞から分化した細胞について、細胞から分泌されるβヘキソサミニダーゼ酵素活性を測定し、細胞数、時間依存的に分泌酵素量が増加することを確認した。(3)ライソゾーム病モデルマウスの改変(Scid化)-SDマウスをscidマウスと交配させることで、細胞移植時に免疫学的拒絶が起こらないSDマウス(SD-scid)を作製した。SD-scidマウスはSDマウスと同様に神経症状を呈した。今後は作製したSD-scidマウスに対して細胞移植実験を進めていき、効果および安全性を確認していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していたin vitro共培養系については現在検討中であるが、in vivoのモデルの作製が終了しており、細胞移植実験を当初よりも早く実施しているため、研究全体としては、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
in vivoのモデル作製が無事に終了しているため、移植実験を進めていく。in vitro実験系については引き続き検討していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年3月31日現在で発生していた残額については、既に3月中に支払い予定が確定しているため、24年度中に使用する予定はない。当初の交付申請通りの研究費にて研究資材、研究試薬、実験動物を購入予定である。
|