2013 Fiscal Year Annual Research Report
二分脊椎症モデルSIP1ノックアウトマウスを用いた神経管閉鎖メカニズムの解析
Project/Area Number |
23791215
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
西崎 有利子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, リサーチレジデント (90378901)
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Keywords | Sip1 / 神経管閉鎖 / 二分脊椎症 / BMP |
Research Abstract |
本研究では、神経管閉鎖障害を示すSIP1ノックアウト(KO)マウスを、二分脊椎症のモデル動物として解析し、神経管閉鎖障害のメカニズムを解析することを目的としている。まず、神経管閉鎖過程においてSIP1の発現は、神経管全体及び体節に観察された。次に、細胞極性について解析を行ったところ、細胞の収縮を担うべきF-actinの閉鎖腔側への局在がSIP1-KO胚において乏しく、また、閉鎖腔側に沿って形成されるべきリン酸化ミオシン軽鎖が形成不全で寸断化していることが明らかになった。SIP1は、BMPシグナルの伝達を担うSmadと相互作用する分子であるため、BMPシグナル伝達の指標となるSmad5のリン酸化についても解析を行った。その結果、正常胚で見られる神経管背側の局所的なSmad5のリン酸化がSIP1-KO胚で見られなかった。また、神経管閉鎖に関与するWnt-PCP経路の構成要素であるVangl2遺伝子について、遺伝子相互作用を調べる目的で、SIP1ヘテロ-KOマウスとVangl2ヘテロ変異マウスを交配したが大きな変化は見られなかった。また、Wnt-PCP経路の構成分子であるDaam1等の分布についても、SIP1-KO胚で大きな異常は見られなかった。細胞分化に関しては、SIP1-KO胚の神経管でSox2の発現が低下しE-cadherinの発現が亢進していることが免疫組織染色で確認された。発生が進むと、SIP1-KOでは、神経管の代わりに、Sox2とE-cadherinを同時に発現する一層の上皮様細胞からなる小疱が形成された。これらの結果から、神経管閉鎖障害を示すSIP1-KO胚で、神経分化及びBMPシグナル入力の異常、細胞極性の形成不全と細胞収縮障害が明らかになった。本研究により、これまで知られていない二分脊椎症の発症原因の特定につながる成果が得られたと考える。
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Research Products
(4 results)