2013 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイドによる新生児脳障害およびその治療法の開発
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23791221
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
一ノ橋 祐子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (60465523)
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Keywords | ステロイド / デキサメタゾン / 発達脳 |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、臨床の現場においてステロイドのもたらす危険性、すなわち神経細胞数の減少・脳重量の減少などを再認識するとともに、そのメカニズムを解明しつつ、適切な使用時期・使用量などを検討し、新生児医療での神経学的予後の改善をはかることである。 昨年度は、神経幹細胞培養系を用いて、デキサメタゾン(DEX)を添加すると、細胞死は増加させないが、神経幹細胞の増殖が抑制されることを明らかにした。 今年度は、動物モデルにおいて、少用量のデキサメタゾン(DEX)による影響を調べた。生後1日目から新生仔ラットにDEX(0.2mg/kg/day 3日間、その後0.1mg/kg/day 4日間)を腹腔内投与した。生後7日目に潅流固定し免疫組織学的に検討すると、海馬においてアポトーシスの亢進(cleaved caspase 3陽性細胞の72%増加)、細胞新生の抑制(Phospho-Histone H3陽性細胞の76%減少)を認めた。また、同条件でDEXを投与し、生後1週~5週にかけて行った体重、脳重量評価では、有意な増加不良(生後36日で体重30.4%減、脳重量10.7%減)、生後4~6週にかけて行った行動学的評価では、能動回避学習試験にて学習障害を、またオープンフィールドテストにて多動傾向を認めた。 これらの結果より、ステロイド製剤は、未熟脳において神経幹細胞の増殖抑制をもたらし、その後の学習障害などの神経学的障害を引き起こす可能性があると考えられる。
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