2011 Fiscal Year Research-status Report
子宮内胎児発育遅延児における長寿遺伝子発現に関する研究
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23791224
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森岡 一朗 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80437467)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 子宮内胎児発育遅延 / メタボリック症候群 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
1.子宮内胎児発育遅延(IUGR)児および子宮内で正常発育した新生児(AFD児)のSirt1遺伝子・VEGF遺伝子発現の検討1) Sirt1遺伝子発現の検討:ヒト胎盤RNAから逆転写反応を行い、胎盤由来cDNAを作成した。そのcDNAを用いてSirt1遺伝子のPCRを行っている。今後、対象の胎盤でのSirt1遺伝子発現の有無につき確認していく。2) VEGF遺伝子発現の検討:ヒトIUGR児41例(中央値:在胎32週、出生体重1234g)をIUGR群、AFD児44例(中央値:在胎32週、出生体重1956g)を対照群とし、臍帯血からDNAを抽出し、これら二群間において、VEGF遺伝子型を比較した。遺伝子型頻度は、-1498T/CのCCがIUGR群で有意に少なく(IUGR群:2.4%、対照群:15.9%、p=0.03)、-634C/GのCCがIUGR群で有意に多かった(IUGR群:34.1%、対照群:13.6%、p=0.03)。VEGF-1498T/C多型と-634C/G多型は、IUGRの発症と関連している可能性があることを明らかした。2. IUGR児およびAFD児の発育やメタボリック症候群関連血液検査値のコホート調査IUGR児(n=5)およびAFD児(n=10)で生後4から6か月時のBody Mass Index(BMI)と脂質検査値を比較した。出生時はIUGR児のBMIは、AFD児に比して低値であったが、生後4から6か月時では、BMI、脂質検査値(T-cho,F-cho,HDL, LDL, HDL/LDL比, TG, FFA)に有意な差はなく、正常値を呈していた。以上より、IUGRの発症には少なくともVEGF発現が関連することを証明した。IUGR児は生後6か月までにBMIはキャッチアップするものの、脂質異常を呈さない可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長寿遺伝子であるSirt1遺伝子発現に関しては、ヒト胎盤を用いての系の確立を目指して未だ研究中で、確立までは至っていない。しかしながら、IUGRの発症に関わるその他の遺伝子発現を、臍帯血から抽出したDNAで解析できる系を確立した。また、新生児から追跡可能なコホート調査も開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト胎盤からのSirt1遺伝子発現の有無を明らかにできる系の確立を目指す。その一方で、臍帯血より抽出したDNAを用いた遺伝子多型解析の系は確立できたので、IUGRの発症と密接に関連していると考えられる様々な種類の遺伝子発現の検討も併行して行う。平成23年度はメタボリック症候群関連血液検査値のコホート調査の対象症例がまだ少なく次年度への繰り越し額が生じた。メタボリック症候群関連血液検査値のコホート調査は継続して行い、IUGR児は生後早期から脂質異常が生じやすいのかどうか明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度から行っている遺伝子解析やメタボリック症候群関連血液検査の解析を引き続き実施する。IUGR児の発育・メタボリック症候群関連血液検査値の追跡調査を継続して行う。平成23年度はメタボリック症候群関連血液検査値のコホート調査の対象症例がまだ少なく、その費用分が次年度への繰り越しとして生じている。平成24年度は対象症例が増加する予定である。
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