2012 Fiscal Year Research-status Report
子宮内胎児発育遅延児における長寿遺伝子発現に関する研究
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23791224
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森岡 一朗 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80437467)
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Keywords | 子宮内胎児発育遅延 / メタボリック症候群 / 遺伝子発現 / 脂質 |
Research Abstract |
1.子宮内胎児発育遅延(IUGR)児および子宮内で正常発育した新生児(AFD児)のSirt1遺伝子・レニン・アンジオテンシン系(RAS)遺伝子発現の検討 1) Sirt1遺伝子発現の検討:ヒト胎盤RNAから逆転写反応を行い、胎盤由来cDNAを作成した。そのcDNAでGAPDHの発現を確認した。SIRT1のプライマーセットを作成し、PCRを行った。目的の産物と思われる約340bpのバンドが得られた。しかしながら、非特異産物も多いことから、PCR条件の調節を行っている。 2) RAS遺伝子発現の検討:ヒトIUGR児92例をIUGR群、AFD児101例を対照群とし、臍帯・臍帯血・頬粘膜からDNAを抽出した。ACE rs4340(I/D)、AGT rs699(C>T)、AGTR1 rs5186(A>C)をPCR法・RFLP法・直接シークエンス法を用いて決定した。RAS遺伝子多型の遺伝子型の頻度では、AGT rs699 TT遺伝子型がIUGR群で有意に高かった(IUGR群:4.4%、対照群:0%、p=0.03)。多変量解析を行った結果、AGT rs699 TT遺伝子型はIUGR発症の独立した危険因子であった。 2. IUGR児のメタボリック症候群関連血液検査値のコホート調査 IUGR児およびAFD児で生後4~6か月時、生後7~9か月時のBody Mass Index(BMI)と脂質検査値を比較した。出生時はIUGR児のBMIはAFD児に比して低値であったが、生後4~6か月、生後7~9か月時では、BMI、脂質検査値(T-cho,F-cho, HDL, LDL, HDL/LDL比, TG, FFA)に有意な差はなく、正常値を呈していた。 以上より、IUGRの発症にはRAS遺伝子のAGT rs699 TT遺伝子型が関連することを証明した。IUGR児は生後9か月現在では脂質異常を呈さない可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長寿遺伝子であるSirt1遺伝子発現に関しては、ヒト胎盤を用いての系の確立を目指して未だ研究中で確立までは至っていないが、バンド検出までできた。 その一方で、IUGRの発症に関わるその他の遺伝子発現を、臍帯・臍帯血・頬粘膜から抽出したDNAで解析できる系を確立した。この系を用いて、子宮内胎児発育遅延児発症に関連する遺伝子の関与を検討している。今までVEGF遺伝子およびRAS系遺伝子の解析を行い、研究成果を発表している。 また、新生児から追跡可能なコホート調査も開始でき、生後9か月までのメタボリック症候群関連血液検査データをまとめることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト胎盤からのSirt1遺伝子発現の有無を明らかにできる系の確立を目指す。その一方で、臍帯・臍帯血・頬粘膜より抽出したDNAを用いた遺伝子多型解析の系は確立できたので、IUGRの発症と密接に関連していると考えられる様々な種類の遺伝子発現の検討も併行して行う。メタボリック症候群関連血液検査値のコホート調査は継続して行い、IUGR児は生後早期から脂質異常が生じやすいのかどうか明らかにする。 また、新たに神戸市の人口ベースでの疫学研究をとりいれ、IUGR児において1歳6か月時および3歳時の身長やBMIの大規模調査を行い、IUGR児が乳児期からの低身長や肥満と関連があるかを確かめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度から行っている遺伝子解析やメタボリック症候群関連血液検査の解析を引き続き実施する。IUGR児の大規模発育調査・メタボリック症候群関連血液検査値の追跡調査を継続して行う。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Vascular endothelial growth factor genetic polymorphisms in newborns with intrauterine growth restriction.2012
Author(s)
Fujioka K, Morioka I, Yagi M, Koda T, Matsuo K, Yokota T, Morikawa S, Miwa A, Shibata A, Yokoyama N, Takeshima Y, Yamada H, Iijima K.
Organizer
the Society for Pediatric Research Conference
Place of Presentation
Boston, USA
Year and Date
20120428-20120501