2011 Fiscal Year Research-status Report
子宮内胎児発育遅延児の胎盤形成遺伝子(Rtl1)メチル化異常に関する研究
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23791225
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤岡 一路 神戸大学, 医学部附属病院, 臨床研究員 (20568810)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 子宮内胎児発育遅延 / 胎盤形成遺伝子 |
Research Abstract |
近年、子宮内胎児発育遅延(IUGR)児は、新生児期の死亡率・罹病率が高いのみならず成人期生活習慣病の発症リスクが高いことが明らかとなり、胎生期の環境刺激とEpigenetic変化の関連が強く示唆されている。本研究の目的は、胎盤形成遺伝子(Rtl1)のメチル化異常が原因不明のヒトIUGRの発症に関与するかを解明することである。1.IUGR児と正常新生児の検体採取、保存:前方視的に患者検体(胎盤、臍帯、臍帯血)を収集するシステムを当院周産母子センターにおいて構築した。現在までに50例のIUGR児と50例の正常新生児のDNA抽出が完了した。2.IUGRと血管内皮増殖因子(VEGF)遺伝子多型の関係:抽出DNAを用いて、以前当科において未熟児網膜症との関連を検討したVEGF遺伝子多型(Yagi et al, Research and Reports in Neonatology 2011)に関して、IUGRへの関与を検討した。その結果、-1498T/C (rs833061)のTアリル頻度(IUGR群:82.9%、対照群:68.2%、p=0.03)、-634C/G (rs2010963)のCアリル頻度(IUGR群:52.4%、対照群:35.2%、p=0.02)がIUGR群で有意に高いことが明らかとなり、未熟児網膜症発症に関与するVEGF遺伝子多型(936C/T (rs3025039))とは異なることを明らかにした(第56回日本未熟児新生児学会にて報告)。3.重症IUGRの疫学的検討:以前より行っている疫学的検討を継続し、重症IUGRの結果生じるSGA児に関して、(1)正期産のSGA児も一定数存在すること、(2)身長・体重ともに在胎週数相当の-2SD未満の症例が全体の半数を占めること、(3)超早産のSGA児は死亡退院率が高いこと、などを明らかにした(藤岡他, 神緑会学術誌:掲載予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度中に対象となる患者検体の収集を終了できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
重症の子宮内胎児発育遅延児に関して、胎盤形成遺伝子(Rtl1)のプロモーター領域のメチル化解析をすすめていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画に則して翌年度の研究費を使用する予定である。本研究の結果を、翌年度に学会で発表し、論文として発表する予定である。そのため、図書費や旅費等の経費を計上している。本年度に\72,794の次年度使用額があり、翌年度の研究費と合算して使用する予定である。
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