2013 Fiscal Year Annual Research Report
出生時低体重児にみられるストレスに対する脆弱性への非翻訳RNA発現異常の関与
Project/Area Number |
23791238
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
根本 崇宏 日本医科大学, 医学部, 准教授 (40366654)
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Keywords | 出生時低体重児 / 短体長低体重 / 下垂体 / CRF1型受容体 / グルココルチコイド / microRNA |
Research Abstract |
出生時低体重児は成長後に鬱や自閉症、統合失調、注意欠陥多動性障害を呈する可能性が高い。これらの疾患ではHPA軸の異常が知られているが、その機序への下垂体の関与は明らかにされていない。そこで胎児期の低栄養による出生時低体重のHPA軸の異常への下垂体の関与の可能性を検討することを目的に、妊娠中に摂取カロリー制限をした母ラットからの出生仔を用いて、HPA軸の変化を解析した。本年度は、昨年度までの追いつき成長したラット仔 (LBW-CG, low birth weight and catch-up growth) に加え、追いつき成長せず短体長低体重を呈するラット仔 (LBW-NCG, low birth weight and non-catch-up growth) での検討を行った。BW-NCGラットは、血中コルチコステロン濃度の基礎値は対照ラットとの間に差はみられなかったが、ストレス負荷120分後に対照ラットは頂値に比べ低下していたのに対し、高い値を維持したままであった。また、この値はLBW-CGと比べても有意に高かった。LBW-NCGラットでは拘束ストレス負荷後の下垂体におけるmiR-449aの発現に増加がみられず、CRF 1型受容体のダウンレギュレーションの異常がみられた。これらの結果から、出生時低体重ラットでは何らかの機序によりmiR-449aの発現調節に異常が生じ、ストレス負荷後の血中コルチコステロンの長期高値持続が観察された。コルチコステロンはセロトニンなどのモノアミン受容体の発現調節に関与する事、コルチコステロンの高値持続はグルココルチコイド抵抗性を招き、グルココルチコイド応答遺伝子発現に異常を生じることが明らかにされている。以上より、出生時低体重ラットではストレスに対し脆弱で、ストレス負荷による鬱やその他の神経性疾患発症リスクが高くなっている可能性が高い可能性が示された。
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Research Products
(2 results)