2011 Fiscal Year Research-status Report
脳代謝の律動から迫る新生児脳の発達評価:脳波とNIRSを用いた新生児睡眠解析
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23791240
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
大矢 崇志 久留米大学, 医学部, 助教 (70333234)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | NIRS |
Research Abstract |
本研究は近赤外線スペクトロスコピー(near infrared spectroscopy:NIRS)と脳波を同時記録することにより以下の項目を達することを目的とした。(1)正常な新生児の睡眠相におけるoxy-Hb、deoxy-Hb、t-Hbの変動(Low frequency oscillations)を測定し、その特徴を見出す、(2)病的な新生児と正常児との違いを解明する、(3)低酸素虚血を起こしたモデル動物を用いた実験系で、低酸素虚血で引き起こされるNIRSの変化と、その結果生じた脳障害の程度を病理所見によって確認する。今年度は(1)に関して成果を得た。10名を対象に脳波とNIRSの同時記録を行い、そのうち7名についてLFOsに関して解析を行った。結果を示す。(1)LFOsは睡眠相全体(静・動睡眠相とも)に見られ、その特徴に有意差は認めなかった。(2)静睡眠相(交代性脳波期)のLFOsについて、脳波のburstに伴い、LFOsの分散が減少する傾向にあり、LFOsの位相が同期していた。考察として、先行研究では新生児のLFOsは静睡眠期のburstに影響を受けるため皮質の神経活動を反映したものであるとの報告があるが、今回動睡眠相でも認めたことにより、LFOsが睡眠相全体で律動的な血流変化に関与する循環系のファクターに影響を受けていることを示唆している。この結果は、LFOsの起源を明らかにする上で、有意義であった。その上で、bursとLFOsの間に関連があったことは、LFOsが神経活動にも影響を受けていることの証明であり、同時測定することによって、初めて明らかになったものである。同時測定の有用性を証明したといえる。今後、病的新生児の測定も行うことで、彼らの神経学的な異常を早期に検出することができれば、と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は近赤外線スペクトロスコピー(near infrared spectroscopy:NIRS)と脳波を同時記録することにより以下の項目を達することを目的とした。(1)正常な新生児の睡眠相におけるoxy-Hb、deoxy-Hb、t-Hbの変動(Low frequency oscillations)を測定し、その特徴を見出す、(2)病的な新生児と正常児との違いを解明する、(3)低酸素虚血を起こしたモデル動物を用いた実験系で、低酸素虚血で引き起こされるNIRSの変化と、その結果生じた脳障害の程度を病理所見によって確認する。今年度は(1)に関して成果を得ており、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
神経学的後遺症のリスクを持つ患児にも対象を広げ、健常児との比較をする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品の購入、学会発表の旅費、論文作成に関わる支出など。
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