2011 Fiscal Year Research-status Report
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23791248
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
六戸 大樹 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50436036)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 紫外線障害 |
Research Abstract |
UVBの皮膚に対する効果には急性障害と慢性障害があり、急性障害はサンバーン、慢性障害は皮膚老化および腫瘍発生の誘因となることが知られている。通常は修復機構が働き、DNA損傷部位の修復が行われているが、UVBに対する曝露が長期間になると、修復過程でエラーが生じ、癌遺伝子や癌抑制遺伝子に変異が生じるとされている。その結果、慢性皮膚障害で皮膚腫瘍が発生する。近年SIRT遺伝子群の細胞寿命への関与が指摘されており、SIRT6がDNA修復に関与しゲノムの安定化をもたらすことが報告されている。 我々はケラチン14プロモーターの下流にSIRT6 cDNAの配列を有するトランスジェニック(TG)マウスを作製した。このSIRT6-TGでは表皮角化細胞や毛包にSIRT6が過剰発現していることを確認した。SIRT6-TGの背部を剃毛後、UVBを500 mJ/cm2照射、照射後24, 48時間での皮膚障害を調べるため、皮膚生検を行った。得られた検体で、サンバーン細胞数のカウントしたが、SIRT6発現過剰させても、サンバーン細胞の抑制は認めなかった。一方、UVBによる急性期紅斑の客観的評価法として、Dermaspectrometerを使用しErythema Indexを測定したところ、SIRT6-TGでは有意に紅斑形成が抑制されていた。以上より、SIRT6発現増加によって、表皮角化細胞に対するUVB傷害は抑制されないが、紅斑形成は抑制されることが明らかとなった。SIRT6過剰発現した表皮角化細胞と、線維芽細胞、メラノサイト、リンパ球等炎症細胞によるinteractionがある可能性が示唆された。 UVB照射による長期的な腫瘍新生の差異についても検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験に必要なTGマウス数の確保に時間がかかったが、UVBによる急性期皮膚障害について検討できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はSIRT6が過剰発現した状態での、慢性期のUVB障害すなわち、皮膚腫瘍の発生率の差異について検討する。また、腫瘍が発生した場合は、腫瘍細胞株の作製を図り、培養細胞レベルでの検討も予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
TGマウスの維持・管理。培養細胞の維持・管理。長期的なUVB照射に伴う実験助手の謝金。研究成果の発表等。
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