2012 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性対側性色素異常症におけるリボ核酸編集障害とウイルス防御機構破綻の解析
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23791252
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
林 昌浩 山形大学, 医学部, 助教 (30396569)
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Keywords | 色素異常症 / RNA編集 / ウイルス感染 / メラノサイト |
Research Abstract |
A) 臨床的アプローチによる解析 遺伝性対側性色素異常症(DSH)は、adenosine deaminase acting on RNA1(ADAR1)変異による常染色体優性遺伝の色素異常症で、四肢末端、特に手掌および足背に、粟粒大から米粒大の濃淡様々な色素斑と脱色素斑が密に混在する皮疹を特徴とする。これまでに43例の患者試料の集積を行い、うち31名に原因遺伝子であるADAR1遺伝子に存在する病的変異を明らかにした。一方で、12名には変異を認めなかった。これらの症例の臨床症状はいずれも非典型例であり、本疾患の臨床診断の難しさを示唆するものと言える。また、遺伝子変異型と症状についての関連性について解析したところ、変異部位と臨床症状に明らかな相関関係は認められなった。 B) 基礎的研究による解析 これまでに5種類の培養メラノーマ細胞(MNT-1, MM96E, MM96L, MM418, HM3KO)を使って安定ADAR1ノックダウン細胞を樹立した。このうちまずはADAR1の発現量がwild株に比べて約20%にノックダウンさせたMNT-1細胞を用いて各種ウイルス(計18種類)に関する感受性を調べた。その結果、ある種のウイルスに対して、ノックダウン細胞でコントロール細胞に比べ感受性が高くなる現象が認められた。現在、ノックダウン率とそのウイルスに対する感受性の相関関係等についてその詳細を検討中であるが、DSH発症に関する病態とウイルス感染の関係を強く示唆するものであり、大変興味深い。
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