2011 Fiscal Year Research-status Report
神経線維腫症I型の抗TNF-alpha抗体による新規治療の開発
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23791253
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 泰大 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20455934)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 神経線維腫症 / 神経線維腫 / TNF-alpha |
Research Abstract |
神経線維腫症I型(以下NF-1)は全身の神経系を侵す常染色体優生遺伝の神経系疾患で、主に進行する皮膚の神経線維腫が全身に生じる。時に一部の腫瘍は巨大化・悪性化し、患者のquality of lifeおよび生命予後を著しく低下させる。以上のようにNF-1は神経線維腫増殖の制御が本疾患治療の鍵となる。研究代表者は神経線維腫細胞の増殖に影響を与える様々なサイトカインを検索したところ、tumor necrosis factor alpha (以下TNF-α)が他のサイトカインに比べて有意に強い神経線維腫細胞の増殖能を有し、腫瘍組織内に存在する肥満細胞がTNF-αの分泌に深く関わっていることを見いだした。さらに近年皮膚神経線維腫を再現したマウスの系統が確立された。この登場によりin vivoでの治療法検討や病態の解明が可能になってきた。そこで本研究では既に応募者がin vitroで見いだしたTNF-αが神経線維腫の増殖能を増強するという効果について、in vivoにてTNF-αが神経線維腫の病態にどのように関わっているかを明らかにすることを目的とする。神経線維腫症病態モデルであるCAMK2-Cre-TgTg/+;flox-NrasG12V-TGTG/+マウス、さらに比較実験のための各腫瘍・癌腫モデルマウスであるB16F10、乳癌モデルマウス、骨肉腫モデルマウスを用いてTNF-αを含む各種サイトカイン(aFGF、bFGF、HGF、NGF等)を投与した。種々の濃度暴露や投与回数、time courseによる増殖能の差異などにつき、各腫瘍の増大の差異を異なる腫瘍間および非投与群と比較検討しているが、まだ、経過観察期間が短いためか、観察期間中において各種マウス間に腫瘍径計測における差異はみられず、現在さらに経過観察中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
並行してTNF-αプロモーター下流にC/EBPβ cDNAを組み込み、このコンストラクトを胚移入し、TNF-αを強制発現するトランスジェニックマウス作成の準備をする予定であったが、多忙な他業務のため、見込んでいたエフォートが達成できずこちらが未施行である。
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Strategy for Future Research Activity |
TNF-αによる腫瘍の増殖、縮小の有無にかかわらず、各モデルマウスに抗TNF-αレセプター抗体を種々の投与経路および濃度で投与し、各腫瘍の増殖抑制効果の差異を 異なる腫瘍間および非投与群と比較検討する。この際、種々の濃度暴露や投与回数、time courseによる増殖抑制効果の差異や最大効果もあわせて検討する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究に伴い当初予定していた通り、各種サイトカイン・一次抗体等、各種二次抗体・発色キット、DNA精製キット、各種抗原ELISAキット、制限酵素・修飾酵素、PCRキット、およびマウス購入費・飼育料などのランニングコストが主である。
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