2011 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍微小環境でメラノーマに誘導される新規免疫抑制分子の同定
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23791261
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
猪爪 隆史 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (80334853)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / メラノーマ / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
本研究の目的は、抗腫瘍免疫反応に重大な役割をもつサイトカイン、IFN-gamma刺激によってメラノーマ細胞に発現し、メラノーマ反応性T cellを直接抑制する未知の分子を網羅的遺伝子発現解析によって同定し、それらの生理的作用の強さをヒトのメラノーマ特異的T cellを用いてin vitroで定量的に評価することである。将来的にはそれらを阻害する抗体を作成してメラノーマへの免疫療法の効果を増強するのに利用する。 今年度はまず、IFN-gamma処理によりT cell活性化を抑制する因子が誘導されるメラノーマ細胞株群と誘導されない細胞株群の、IFN-gamma処理による遺伝子発現変化の違いをDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析、比較した。その結果、免疫抑制分子の候補を約5個同定した。同定した候補遺伝子をそれぞれクローニングし、強制発現の実験のための遺伝子発現ベクターに挿入して大量精製した。23年度の実施計画はここまでであったが、候補分子の一つに関してはすでにその遺伝子を発現しないメラノーマに強制発現させて、その分子の腫瘍特異的T cellへの抑制効果を確認できた。候補遺伝子の選出とin vitroでの機能評価は本研究の骨子である。現在のところ候補分子の選出と機能評価のシステムは順調に働いてる。平成23年度にこの結果を国内の学会で二度、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IFN-gamma処理によりT cell活性化を抑制する因子が誘導されるメラノーマ細胞株群と誘導されない細胞株群で、IFN-gamma刺激による発現遺伝子の変化の違いをDNAマイクロアレイにて網羅的に解析、比較した。T cell機能を抑制する候補遺伝子を絞り込む基準を設け、複数の候補遺伝子を得た。遺伝子データベースから候補遺伝子の蛋白コード部位をPCRで増幅し、遺伝子発現ベクターに挿入した。発現ベクターを大量精製した後、これを用いて候補遺伝子をこれらをもともと発現しないメラノーマ細胞に遺伝子導入し、in vitroで腫瘍特異的T cellと共培養した際のT cellへの機能抑制効果を検討した。その結果、現在までに1つの遺伝子がメラノーマにおける新規のT cell機能抑制分子として同定された。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA Chipで同定したその他の候補遺伝子についても腫瘍特異的T cellに対する抑制機能をin vitroで確認する実験を同様の方法で行う。 抑制機能を確認出来た遺伝子については、マウス型の遺伝子を単離し発現ベクターに挿入する。これを用いて候補遺伝子をマウスB16メラノーマに導入、強制発現させ、マウス背部皮下に接種する。そして候補遺伝子を強制発現した腫瘍と発現しない腫瘍の自然な成長速度、および免疫療法を実施したときの反応性を腫瘍径の推移によって定量的に比較する。可能であれば、候補分子に対するブロッキング抗体や阻害物質を作成し、担癌マウスに投与した場合に腫瘍の成長を抑制する効果がみられるかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
in vitroで同定したT cellを抑制する候補遺伝子をマウスの腫瘍細胞株に強制発現させて、マウス皮下に接種した場合の増殖速度への影響を調べる。次年度予算はマウス型の遺伝子をクローニングしたり、発現ベクターを作成したり、実験用マウスを購入するのに使用する。有意な抑制効果が見られればその候補遺伝子を標的にしたブロッキング抗体を作成して, ブロッキング抗体の抗腫瘍効果をin vivoで検討する実験にも用いる。今年度に同定した遺伝子の中で、抗体や試薬の入手が遅れたために解析が進んでいないものが複数残っている。次年度使用額の合計欄に記載された研究費はこれらの解析を次年度に実施するために使用される。
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Research Products
(2 results)