2012 Fiscal Year Research-status Report
脂腺細胞の新規分泌膜小胞セボゾームの生成、分泌機構の解明
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23791274
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
永井 彩子 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(特定教員) (90420562)
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Keywords | Sebosomes / sebocytes |
Research Abstract |
脂腺細胞は、スクアレンなどの脂質を合成し、皮脂として皮膚表面に分泌する。我々は、ラットの脂腺細胞を培養したところ、脂質を含む膜小胞を活発に生成・分泌することを発見して、同膜小胞を「Sebosomes」と命名した(Endocrinology 2005年)。Sebosomesはリサイクリングエンドソームおよび、早期-後期エンドゾーム、リソゾーム、脂質ラフトなどを含有する新型の複合膜系であった。また、Sebosomesはスクアレンやヒストンを濃縮しており、保湿機能に加え、抗菌活性が示唆された。今回、Sebosomesの生成・分泌機構を検討する目的で、種々の細胞膜小胞のマーカーを解析した。 方法としては、脂腺細胞はEGF添加DMEMで培養維持した。脂質ラフトはcholera toxin B-Alexa Fluor 555 conjugateを、lysosomesはLysoTrackerを、細胞膜はwheat germ agglutinin-CF488 conjugate、CellMask Orange Plasma membrane stainを、それぞれ培養液に添加し、各々の細胞内の蛍光の局在を観察した。Rab4, Rab5, Rab18, CD63の分布は、細胞を固定後、蛍光免疫染色法で検出した。 その結果、脂腺細胞に添加した各マーカー分子は、生成後分泌されたSebosomes膜に局在が認められた。また、SebosomesにはRab4, Rab5, Rab18, CD63など種々の膜系のマーカーおよび、エクソソームのマーカー蛋白質を含有していた。 以上より、Sebosomesは細胞膜および、種々の内膜系を含む複合膜系と考えられ、開口分泌で分泌されるエクソソームとは異なる分泌機構が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災の影響からH23年度は機器等の購入時期が遅れ、また実験室の移動を余儀なくされたため機器等の移動、設置、調整等に時間を要し、H23年度分の研究に遅れを生じた。当時稼働可能な機器運用の状況から、進めることが可能な実験計画から施行している。H24年度は、H23年度に予定していた実験も開始し現在進行中であるが、実験室の環境が変わった影響などにより、予定していた以外の細部にわたる機器の調整や実験条件の検討が必要となったことや、新たにわかった現象に注目し、更に深く検討を進めていったため、研究開始年度に生じた遅れを解消するに至ってはいない。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、セボゾーム分泌機構を促進・阻害する因子の検索やセボゾームの周辺細胞への物質輸送機能の解明を進めながら、セボゾームの生成・分泌機構やその機能についての検討を進める。H24年度は日本分子生物学会年会で本研究結果の一部を発表したが、ワークショップ演題に採択され、H23年度に引き続き2年連続で口頭発表の機会を得ており、座長からも本研究の新規性、独自性について高く評価された。現在論文作成中であり、最終年度にまとめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)