2011 Fiscal Year Research-status Report
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23791281
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
石川 一志 大分大学, 医学部, 助教 (80600452)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | エピプラキン |
Research Abstract |
エピプラキンは自己免疫性表皮下水疱症の自己抗原として同定されたプラキンファミリー分子の一つであるが、その動的機能を探るべく、エピプラキン欠損マウス(EPPK-/-)を作成した。その創傷治癒過程を電子顕微鏡で観察した結果、ケラチンの発現様式は野生型マウスと変わらなかったが、エピプラキン欠損マウスでは、ケラチン線維が細くなり、細胞全体にびまん性に分布する傾向を認めた。この結果、この分子は表皮細胞に機械的ストレスが加わる際、ちょうど傘の骨格のようにケラチン線維を束ねて補強すると考えられた(Ishikawa, et al, J Dermatol Sci,2010)。またエピプラキン欠損マウスでは、皮膚の創傷治癒過程において表皮細胞の遊走が早くなることが判明した(Goto, et al Mol Cell Biol, 2006)。本研究では、エピプラキン発現低下させたHeLa細胞(EPPKlowHeLa)では、細胞の遊走能、増殖能がどう変化するかをまず調べた。その結果、EPPKlowHeLaでは、Eカドヘリンの発現量、分布などには変化が見られなかったが、アクチンの細胞内局在が変化し、細胞接着斑の低下が見られた。ビメンチンについても、エピプラキン欠損マウスの創部表皮細胞と同様に、細胞骨格が、放射状に配向せず、核周囲に局在する傾向が見られた。細胞運動能について、微速度顕微鏡撮影装置で観察した結果、運動能の亢進が認められた。増殖能については、対照と比較してEPPKlowHeLaでは、明らかな細胞増殖能の増加は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エピプラキン欠損、あるいは減少した場合、何故運動能の亢進が認められるのか、その詳細なメカニズムを探る方向に研究がシフトしたためである。そのメカニズムを探るべく、種々の細胞内シグナル伝達阻害剤添加実験、Stat3シグナルに着目して、そのリン酸化などの変化を見たが、有意な結果は得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
エピプラキンB-domainの過剰発現細胞ではコントロールと比較し、細胞運動能が低下するか否かを検討する。さらに計画通り(1)基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫の病理組織、あるいはその細胞やHela細胞におけるエピプラキンの発現の検討、(2) 各種有棘細胞癌、悪性黒色腫細胞、Hela細胞でエピプラキンの発現を抑制、亢進させた後の遊走能、増殖能の検討、(3) 遊走能亢進が正常に復するエピプラキン最小ドメインの検討、(4) 腫瘍細胞におけるエピプラキン結合蛋白質の同定を行う
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
エピプラキンの発現、抑制の検討の際に使用するエピプラキン抗体の精製時に使用する精製用のカラム、各種細胞でのエピプラキンの発現を抑制する際のSiRNA、その他一般試薬に対して使用する。エピプラキン抗体精製用のカラム、100,siRNA合成、100、その他一般試薬・培養用試薬・器具、700、計900(単位千円)
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[Presentation] Epiplakin modifies the cellular motility and migration2011
Author(s)
Hiromitsu Shimada, Akiko Nambu-Niibori, Masayo Wilson-Morifuji, Souhei Mizuguchi , Norie Araki, Hideaki Sumiyoshi, Kazushi Ishikawa, Osamu Okamoto, Sakuhei Fujiwara
Organizer
The 36th Annual Meeting of the Japanese Society for Investigative Dermatology
Place of Presentation
京都
Year and Date
2011年12月9-11日