2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23791281
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
石川 一志 大分大学, 医学部, 助教 (80600452)
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Keywords | エピプラキン / 細胞内シグナル |
Research Abstract |
エピプラキンは自己免疫性表皮下水疱症の自己抗原として同定されたプラキンファミリー分子の一つであるが、その動的機能を探るべく、エピプラキン欠損マウス(EPPK-/-)を作成した。その創傷治癒過程を電子顕微鏡で観察した結果、ケラチンの発現様式は野生型マウスと変わらなかったが、エピプラキン欠損マウスでは、ケラチン線維が細くなり、細胞全体にびまん性に分布する傾向を認めた。この結果、この分子は表皮細胞に機械的ストレスが加わる際、ちょうど傘の骨格のようにケラチン線維を束ねて補強すると考えられた。またエピプラキン欠損マウスでは、皮膚の創傷治癒過程において表皮細胞の遊走が早くなることが判明した。今回エピプラキン発現低下させたHeLa細胞(EPPKlowHeLa)では、細胞の遊走能、増殖能がどう変化するかを調べた。その結果、EPPKlowHeLaでは、Eカドヘリンの発現量、分布などには変化が見られなかったが、アクチンの細胞内局在が変化し、細胞接着斑の低下が見られた。ビメンチンについても、エピプラキン欠損マウスの創部表皮細胞と同様に、細胞骨格が、放射状に配向せず、核周囲に局在する傾向が見られた。細胞運動能について、微速度顕微鏡撮影装置で観察した結果、運動能の亢進が認められた。増殖能については、対照と比較してEPPKlowHeLaでは、明らかな細胞増殖能の増加は認められなかった。マウス・エピプラキンのC末端側の3つのドメイン(GFP-EPPK-3B)を導入したHeLa細胞では、運動能の低下が認められた。この導入細胞では、GFP-EPPK-3Bが細胞の辺縁あるいは細胞突起に局在し、時間経過とともに、他の部位へ移動した。このことは、細胞運動時、ケラチンとともにエピプラキンはダイナミックに移動し、おそらく細胞内シグナルを介してその情報がアクチンに伝えられ、細胞運動を調節していることが示唆された。
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