2011 Fiscal Year Research-status Report
膠原病の難治性皮疹に対するヒドロキシクロロキンの作用機序の解明
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23791288
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
池田 高治 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20422933)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ヒドロキシクロロキン / 全身性エリテマトーデス / 強皮症 / MRL/lprマウス / Bleomycin誘導皮膚硬化マウス |
Research Abstract |
本邦の全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚エリテマトーデス(CLE)症例へのヒドロキシクロロキン(HCQ)の有効性をみるpilot studyを施行した。活動性内蔵病変がないまたは増悪がない、難治性皮膚病変を示すSLE症例、および難治性CLE症例7例に対し、理想体重にあわせHCQを1日200mg~400mgを16週間投与した。皮膚病変はCLASI scoreで評価した。7例中4例で活動的な皮膚病変の有意な改善を認め、7例中3例で関節痛の軽減、2例で全身倦怠感の消失を認めた。SLE症例では補体・抗dsDNA抗体などに変動は認めなかった。血中脂質の有意な低下を認めた。16週間投与後HCQ投与を中止した3例すべてで皮膚症状、全身倦怠感の再燃を認めた。副作用として眼症状を2例に認めたが、一過性で消失した。本研究成果は、本邦における対象疾患にもHCQは有効であり安全性を確保できる治療法である可能性を示した。本研究成果は、Journal od Dermatolkogyに投稿、掲載済である。 MRL/lpr マウスの円板状皮疹のHCQ投与での改善効果もしくは出現抑制効果の有無についての研究を施行中である。これによりHCQのSLE、CLE難治性皮膚病変への作用機序を検討する予定である。HCQの長期投与について、動物実験の報告はほぼない。現在MRL/lprマウスを複数群に分け、複数の容量を飲水に混合し投与中で、至適容量を検討中である。 強皮症などの硬化皮膚へのHCQの改善効果の有無についての研究のため、Bleomycin誘導皮膚硬化モデルマウスにHCQを投与し、硬化皮膚が改善するかの研究を予定している。前段階として、Bleomycin誘導皮膚硬化モデルマウスの硬化皮膚の、線維化維持にかかわるサイトカイン、apoptosisの変動を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請した研究計画のうち、本邦の全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚エリテマトーデス(CLE)症例へのヒドロキシクロロキン(HCQ)の有効性をみるpilot studyを施行し、結果を得て、すでにJournal of Dermatologyに投稿、掲載された。 研究計画のうち、MRL/lprマウスへのHCQ投与、結果検討について、投与至適容量検討に入っている。元来当該マウスの皮膚症状出現には数か月を要するため、さらなる観察期間を要するが、至適容量の決定後多数のマウスへの投与を開始できる。 Bleomycin誘導皮膚硬化モデルマウスへのHCQ投与、結果検討について、上記容量決定できれば、当該モデルマウスの作成後HCQ投与を開始できる。
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Strategy for Future Research Activity |
MRL/lpr マウスの円板状皮疹のHCQ投与での改善効果もしくは出現抑制効果の有無についての研究について、HCQの長期投与に関する動物実験の報告はほぼない。現在MRL/lprマウスへの至適容量を検討中である。皮疹形成までに数か月を要するため、これとHCQ効果をみるため一定期間観察する。 Bleomycin誘導皮膚硬化モデルマウスの硬化皮膚の、線維化維持にかかわるサイトカイン、apoptosisの変動を確定する。 至適容量決定後、MRL/lprマウス、Bleomycin誘導皮膚硬化モデルマウスに投与を開始する。一定期間投与し、各々の皮膚症状の変化、皮膚症状の形成に関与するサイトカイン、apoptosisの変動の有無について、検討を予定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後本邦のSLE、CLE症例へのpilot studyに新たに参加する症例などに対するHCQの購入のため、研究費の充当を継続する。 MRL/lprマウスの購入、Bleomycin誘導皮膚硬化モデルマウスの作成のためのマウスの購入、Bleomycinの購入、HCQ投与後採取した病変皮膚の処理、病変皮膚内でのサイトカイン、apoptosisの変動をみるための試薬・物品の購入に研究費の充当を継続する。 上記の成果の学会発表、論文作成投稿などにも、研究費を充当する。
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