2012 Fiscal Year Research-status Report
サルコイドーシスにおけるB細胞およびBAFFの異常と単球の関与
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23791296
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
植田 郁子 関西医科大学, 医学部, 助教 (80452100)
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Keywords | サルコイドーシス / B細胞 / BAFF / 単球 |
Research Abstract |
【サルコイドーシス患者 におけるΒ細胞の絶対数と頻度およびサブセットの異常の検討】抗CD19抗体で末梢血細胞を染色し、フローサイトメトリーで検出した。サルコイドーシス患者と正常人を比較したところ、末梢血中のB細胞の絶対数や頻度に差はみられなかった。次にCD19、 CD27の染色パターンによりナイーブB細胞、メモリーB細胞、形質細胞の頻度を算出した。サルコイドーシス患者では正常人と比較して、ナイーブB細胞の頻度が高く、メモリーB細胞の頻度が低いことがわかった。あわせて単球の表面マーカーも染色し、B細胞と単球の細胞数との相関について検討したが、相関はみられなかった。 【サルコイドーシス患者 におけるB細胞のフェノタイプの解析】B細胞の表面抗原の発現をフローサイトメトリーにより測定した。共刺激分子であるCD80、CD86、細胞死(アポトーシス)を媒介するCD95、その他ケモカインレセプターであるCXCR3、CXCR4について、陽性細胞の頻度や、その発現量の違いを比較したが、サルコイドーシス患者と健常人において差はみられなかった。 【サルコイドーシス患者 における血中BAFF濃度の測定、血中BAFF濃度と臨床症状や疾患活動性との相関の有無についての検討】B細胞の生存や分化に必須であるBAFFの血中濃度をELISA法で測定した。サルコイドーシス患者血清中のBAFFは健常人と比較して有意に上昇していた。BAFF濃度と臨床症状との相関について検証したところ血清中BAFF濃度上昇群で皮膚症状と眼症状が高率にみられた。また、これまでにサルコイドーシス患者で病勢と相関する指標として用いられている血中Angiotensine converting enzyme値やLysozyme値を測定したところ、BAFF濃度と有意に相関しており、血清中BAFF濃度が疾患の活動性を反映することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に計画していた検討内容はほぼ検証できている。B細胞のフェノタイプ解析については、できれば今後サンプル数を増やし再確認したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究によりサルコイドーシス患者で、BAFFが過剰発現していることがわかった。 BAFFの過剰発現により、B細胞の自己寛容が破綻し自己抗体が産生されることが示唆されており、今後自己抗体の産生と B細胞のサブセットとの相関および血中のBAFFの濃度との相関がないかどうかについて検討する。 また、BAFFは種々の細胞から産生されることがしられているが、サルコイドーシスの類上皮細胞の起源と考えられる単球に着目し、BAFFの産生を検討する。さらに単球由来のBAFFが実際にB細胞の生存に影響を与えるかどうかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
単球の単離に用いる磁気ビーズや、フローサイトメトリーで染色、捕集する際の抗体、さらに各種サイトカインの購入に主に使用する予定である。その他RNAの抽出やRT-PCRに用いるBufferなどを購入する予定である。
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Research Products
(1 results)