2011 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー性皮膚疾患におけるnuocyteの免疫学的解析
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23791297
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
羽田 孝司 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90580035)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | IL-33 / nuocyte / アトピー性皮膚炎 / 乾癬 |
Research Abstract |
インターロイキン33(IL-33)はIL-18と同じIL-1ファミリーのサイトカインで、IL-18と同様にアトピーなどのアレルギーへの関与が指摘されている。近年、IL-33の標的細胞として新たな白血球(nuocyte)が発見されたが、皮膚炎におけるnuocyteの関与については未だ明らかではない。ヒトにおいても、疥癬などの皮膚寄生虫感染やアトピー性皮膚炎などの病態においてnuocyteがどのような役割を果たしているか全く不明である。本年度においては、まず、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性皮膚疾患におけるヒト血清中のIL-33濃度の測定を行った。これにより、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、膿疱性乾癬について検討したが、血清IL-33濃度は健常人と有意差を見いだすことはできなかった。続いて、末梢血中や組織中のNuocyte検出系を確立した。すなわち、組織中ならびに末梢血中に極くわずか(0.1-0.01%程度)しか存在しないnuocyteを、多色染色が可能な最新式フローサイトメーターであるFACSCANT IIなどを用いて、検出する系を確立した。既に、アナフィラキシーにおいては血清のIL-33が上昇しているとの報告(Pushparaj et al. PNAS;24:9773-8,2009)が有る。そこで、ヒトの末梢血中のnuocyteにおいては、アトピー性皮膚炎とアナフィラキシーなどの薬疹について検討した。今のところ特にnuocyteが増加しているという結果は得らてはいないものの、さらなる検討が必要と思われる。最後に、フローサイトメーターを用いた解析で、マウスのアトピー性皮膚炎モデルであるNc/Ngaマウスにおいて、皮膚炎を発症している皮膚の部位は、健常部位に比べて、有意にnuocyteが多く浸潤していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
nuocyteの検出系を確立できた。また、Nc/Ngaマウスは、マウスのアトピー性皮膚炎モデルとして有名であるが、このモデルにおいて、皮膚炎を発症している皮膚の部位は、健常部位に比べて、有意にnuocyteが多く浸潤していることが判明し、nuocyteが病態に関与している可能性が示唆された。また、末梢血中では増加が認められないことから、末梢血中よりも炎症局所に浸潤することが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
Nc/NgaマウスにIL-33を投与して、IgE上昇や皮膚炎の増悪などin vivoでの変化が生じるかどうか、観察する。また、抗IL-33抗体がNc/Ngaマウスなどの皮膚炎モデルマウスにおける皮膚炎を改善できるか否か検討する。さらに、表皮特異的IL-33トランスジェニックマウスを作成予定であり、このマウスのフェノタイプならびに、皮膚のnuocyteの変化について免疫学的に網羅的に解析を行って行く予定である。また、実際のヒトの組織においてもIL-33の免疫染色が可能となったため、炎症性皮膚疾患や皮膚腫瘍についても検討して行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費としての試薬、特にフローサイトメトリーに対応した蛍光色素標識モノクローナル抗体が必要となる。分離した nuocyte の解析のために、免疫組織染色や ELISA に用いる抗体などが、主な経費となる。また、マウスの飼料等を含む飼育費が必要である。さらに次年度においては、本実験の成果を発表する予定であり、国内外での情報収集および成果発表の経費、論文投稿、掲載料等 の経費が必要である。
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Research Products
(2 results)