2012 Fiscal Year Annual Research Report
IEN型IgA天疱瘡と基底板下部型線状IgA水疱性皮膚症の未知抗原の同定
Project/Area Number |
23791299
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
土坂 享成 久留米大学, 医学部, 研究員 (50599313)
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Keywords | 皮膚診断学 / 皮膚生化学 / 免疫沈降 / 分子生物学 |
Research Abstract |
これまでの研究で、多くの免疫性水疱症の病型が知られるようになり、その自己抗原が明らかにされたが、未だに明らかにされていない物も幾つか存在する。その中で、IEN型IgA天疱瘡や基底板下部型線状IgA水疱性皮膚症のようなIgA抗体の抗原の同定は非常に困難である。多くの自己抗原のエピトープは高次構造依存性であり、通常の免疫ブロット法では検出することができない。そこで我々は、IgAと高い親和性を有するペプチドMアガロースビーズを用いた新しい免疫沈降法を開発することより、IgA抗体が反応する自己抗原の同定を試みた。免疫沈降法で得られた患者血清に特異的に反応する蛋白を、二次元電気泳動等により分離した後、質量解析により候補蛋白を選定した。その後、一般的な分子生物学的手法に基づき、実験供与細胞からtotal-RNAを抽出し、RT-PCRにより、その候補蛋白のcDNAをクローニングした。得られたcDNAを発現ベクターに組み込み、各種の細胞に導入した後、蛍光抗体法や免疫沈降法等により、候補蛋白が抗原であるか否かを検討した。 これまでに、3つのIEN型IgA天疱瘡の抗原候補蛋白を新しく開発した免疫沈降法により見つけ、リコンビナント蛋白等を使った様々な検討を行ったが、IEN型IgA天疱瘡の抗原である可能性は低いという結果となった。また、候補蛋白の一つとして見つけたtransmembrane secretary component(TSC)は、患者血清のみならず正常者血清のIgAとも結合するため、この蛋白が免疫沈降法を用いたIgA抗体に対する自己抗原の解析に障害となる可能性が予想された。一方、分子生物学・生化学的に皮膚におけるTSCの存在が証明された。今後、皮膚におけるTSCの役割を調べる上で、抗原解析のために作成した種々のTSCリコンビナント蛋白の発現ベクター等が役に立つと思われる。
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Research Products
(1 results)