2013 Fiscal Year Annual Research Report
うつ症状を呈する精神疾患の脳機能基盤と経時的変化についての縦断的研究
Project/Area Number |
23791309
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
滝沢 龍 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30420243)
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Keywords | 脳機能イメージング / 統合失調症 / 双極性障害 / うつ病 / 早期診断・早期治療 / 精神疾患の生物学的指標 / 症状評価・予後予測 / 臨床応用 |
Research Abstract |
精神医療分野で唯一の先進医療「光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助」として2009年に承認され、簡便かつ非侵襲的な近赤外線スペクトロスコピー(NIRS;光トポグラフィー検査)は全国で有用性の評価が続けられてきた。 その技術的な検討として、NIRS信号への皮膚血流の影響をfMRIとの同時測定で検討し、二者の高い相関からNIRS信号は脳血液量を反映していると考えた(Sato ら, 2013)。NIRS信号を決定する要因を双生児について検討し、前頭部NIRS信号で遺伝寄与率が約70%あることを初めて示した(Sakakibaraら, 2014)。 統合失調症のNIRS信号は、GAFで評価した社会生活機能との正の相関を前頭極で(Kinouら, 2013)、思考障害(Marumoら, 2014)や精神病未治療期間DUP(Chouら, 2014)との負の相関を腹外側前頭前野で認めた。初発精神病群の縦断計測では、初回NIRS信号と6ヶ月後と12か月後のGAFとの関連について学会発表した。 大うつ病の縦断計測では、操作的診断基準により大うつ病との診断症例のうち、1.5年後に双極性障害への診断変更例では、初回のNIRS積分値が大きく重心値が遅れており双極性障害の典型パターンと類似していたことを学会発表した。 精神疾患673名・健常者1,007名を対象とした7施設共同研究において、自動解析パラメータを用いて、うつ症状を呈する大うつ病性障害の74.6%、双極性障害・統合失調症の85.5%を正しく鑑別できた(Takizawaら, 2014)。この成果は読売新聞(2013.9.5.)等で報道された。 NIRSの技術的検討を行ったうえで、1年を超える縦断的計測で統合失調症・気分障害の診断、重症度の評価、発症・予後・診断変更の予測などにNIRSデータが有用である可能性を論文等で公表することができた。
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Research Products
(32 results)