2011 Fiscal Year Research-status Report
ミラーニューロン障害仮説に基づく自閉症スペクトラム障害の早期診断マーカーの探索
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23791313
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
遠藤 太郎 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70515759)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 近赤外線スペクトロスコピー / ミラーニューロン |
Research Abstract |
本研究は、自閉症スペクトラム障害(ASD)患者で発達早期から障害されているミラーニューロン系の異常を、世界で初めて近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)を用いて同定し、これらASDの中間表現型とASDの疾患感受性遺伝子との関連を解析にすることにより、ASDの病態解明及び早期生物学的診断指標を明らかにすることを目的としている。これまでに、ASD患者及び定型発達者を対象に、ミラーニューロンに関係する模倣課題中の前頭葉活動をNIRSを用いて測定し、その結果、定型発達者では同課題中に左前頭葉優位の賦活が認められたのに対し、ASD患者ではその優位側性の逆転が認められた。この成果を、Psychiatry Research: Neuroimaging誌に報告した(Tamura et al., inpress)。また、ASDの疾患感受性遺伝子の一つであるセロトニン1A受容体遺伝子(5-HTR1A)の遺伝子多型が、ASDの臨床症状に与える影響を解析した。その結果、5-HTR1A C-1019G多型が、ASDの常同・反復行為に関連していることが明らかとなった。この成果を、Psychiatry Research誌に報告した(Egawa et al., in press)。同様に、セロトニン・トランスポーター遺伝子及びセロトニン2A受容体遺伝子の多型との関連も解析したが、有意な関連は見いだされなかった。これらの成果は、第105回日本小児精神神経学会及び第31回日本精神科診断学会においても報告し、新潟こころの発達医学セミナーにて一般市民にむけて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、研究成果を英文論文としてまとめ報告することは平成24年度に行う予定であったが、研究が順調に進行してきたため、予定が早まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
サンプル収集を推進し、さらなる解析を行うよう鋭意努力する。他の疾患感受性遺伝子との関連も解析し、ASDの中間表現型との関連を明らかにする。これまで得られた成果をもとに包括的な解析を行い、ASDの早期生物学的診断指標を同定することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
さらなる遺伝子解析のための消耗品、備品が必要である。成果報告のための旅費及び英文校正費が必要である。
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Research Products
(3 results)