2012 Fiscal Year Annual Research Report
薬理ゲノム学的手法を用いたオランザピン誘発性糖代謝異常のメカニズム探索
Project/Area Number |
23791314
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
福井 直樹 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90535163)
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Keywords | 精神医学 / 抗精神病薬 / 糖代謝異常 / 薬理遺伝学 |
Research Abstract |
新規抗精神病薬による代謝性副作用は、統合失調症患者における心血管疾患さらには死亡率の増加につながるとされ非常に大きな問題となっている。特に、オランザピンが糖代謝異常を引き起こすリスクが高いとされ、そのメカニズム解明は急務である。本研究では、内科領域における大規模genome-wide association study(GWAS)により同定されたエビデンスレベルが高い糖代謝異常の脆弱性遺伝子と、 オランザピン内服群におけるOGTT各パラメーターとの間で関連解析を行い、オランザピンが惹起する糖代謝異常と関連する遺伝子多型を同定する。さらに、同定された遺伝子の機能を検討する発展研究により、新規抗精神病薬がどのようなメカニズムで糖代謝異常を引き起こすのかという問題に迫る。 本年度は、オランザピンをはじめとする新規抗精神病薬内服群および未服薬コントロール群を対象にOGTTデータ、BMI、ウエスト径などの臨床データの収集および候補遺伝子解析を行い、データベースの構築を行った。 代表的な結果は以下の通りである。 抗精神病薬内服中の統合失調症147名(男性 75名、女性72名、平均年齢 38.0 ± 11.0歳)および身体疾患や内服薬がない健常者152名(男性 84名、女性68名、平均年齢 37.0 ± 10.4 歳)を対象に、BMI、ウエスト径などの臨床データおよび糖代謝パラメーターとglucose-dependent insulinotropic polypeptide (GIP)遺伝子上の-1920G/A多型との関連を調べた。その結果、統合失調症群において、AA群はGG+GA群と比べBMI (24.2 vs 22.2 kg/m2, p=0.004)およびウエスト径(85.0 vs 80.2 ㎝, p=0.012)が有意に大きかった。
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