2013 Fiscal Year Annual Research Report
電気けいれん療法における発作後せん妄状態の脳波・局所脳血流解析
Project/Area Number |
23791319
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
安田 和幸 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (90456442)
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Keywords | 精神神経医学 / 電気けいれん療法 / うつ病 / 脳波 |
Research Abstract |
研究申請時の計画に従い、平成25年度も研究対象となる可能性があるDSM-IV-TRで大うつ病エピソードの診断基準を満たす入院患者15人から研究の同意を得て、BISモニタ専用電極を装着し、ECT開始時から終了後1時間まで可能な限りの時間内で脳波を測定した。ECTは日本精神神経学会におけるECT推奨事項に準じた適応基準と手技により、硫酸アトロピン0.2-0.5 mg、サイアミラールナトリウム2.0-3.5 mg/kg、サクシニルコリン0.5-1.0 mg/kgなどを使用し、標準的なパルス波ECT治療器であるThymatron SYSTEM IVで治療を行った。電極配置は両側性および片側性で、初回ECT時に滴定法により発作不発が現れた症例も解析対象とした。必要な患者に対しては1時間以上の脳波測定時間を設けた。合計脳波測定回数はのべ72回であった。ECT後に少なからずせん妄が見られ、薬剤による鎮静などの対処を要した患者は15人中2人だった。測定した脳波データのうち、解析に利用可能と考えられるものを患者ごとにまとめて整理した。 データの整理、解析のためにBISモニタ専用電極、電子記憶媒体、管理用コンピュータを購入した。 脳波データの解析では、同一患者のECTクール内で1 ECT回数が進むほどBIS値の回復が遅くなること、2 発作時間が短いほどBIS値の回復が早いこと、3 刺激量を増やしたところ、BIS値の回復が遅くなることなどがBIS値の変動パターンとして予測された。 予定していたNIRS(近赤外線分光法)やSPECT(単一光子放射断層撮影)を用いた脳血流測定は関係部署との連携の中で環境が整わず、実施することができなかった。 研究結果を学術的論文として発表するため、学術集会に参加し関連セッションで有識者の助言を得た。また英文翻訳業者に依頼し原稿の校正を行った。論文は学術雑誌に投稿し、査読中である。
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