2012 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症関連環境要因暴露による胎児脳のエピジェネティック異常の解明
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23791322
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岩田 圭子 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命助教 (30415088)
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Keywords | 神経科学 / 自閉症 / 環境要因 / 遺伝要因 |
Research Abstract |
自閉症の原因は遺伝子的要素が強いとされているが、未だ原因遺伝子の特定には至っておらず、遺伝的要因と環境要因の相関性が深く病因に関与していることが示唆されている。本研究課題では、この相関性をエピジェネティクスおよび遺伝子発現の変化の観点から解明することを目的とする。 実験動物はマウスを用い、環境要因としてウイルス感染を用いた。ウイルス感染は、胎児を持つ母マウスにpoly(I:C)、もしくはネガティブコントロールとして生理的食塩水を腹腔内投与した。本投与によって自閉症様行動異常が認められることが既に報告されている(Mueller et al. 2008)。まず、環境要因によってメチル化の変化が起こる時期が異なる可能性があるため、それぞれの発達の段階に胎児の脳を採取し、発生期に重要なメチル化酵素の遺伝子発現を解析した。その結果、時期特異的にメチル化酵素の発現が異常であることを明らかにした。次に、脳を各部位に分け、同様にメチル化酵素発現を解析し、部位特異的な異常であることを突き止めた。続いてメチル化酵素の発現異常が認められた時期の脳部位を用い、これまで自閉症候補因子として知られている遺伝子群について遺伝子発現解析を行った。その結果、数種類の遺伝子に脳部位特異的な発現の変化が認められ、これら遺伝子を自閉症関連ウイルス感染感受性遺伝子として同定した。 今後、自閉症関連ウイルス感染感受性遺伝子のウイルス感染によるメチル化変化を詳細に検討し、さらに遺伝子発現異常の継続される期間を明確にし、それぞれの遺伝子の特性と組み合わせ自閉症発病への関与を考察することで、自閉症発症メカニズム解明、更には予防法および治療法の開発に利用する。
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Research Products
(1 results)