2013 Fiscal Year Annual Research Report
認知行動療法によるうつ病の治癒過程における脳構造・機能変化の解明
Project/Area Number |
23791326
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 信幸 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80511360)
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Keywords | 認知行動療法 / うつ病 |
Research Abstract |
うつ病の生涯有病率は3~7%であり、自殺率は6~15%と高い。うつ病に対して有効な治療法の一つである認知行動療法(CBT)は、うつ病患者に特徴的な歪んだ認知パターンをバランスのとれた思考に修正していく精神療法の一種であり、薬物療法とほぼ同程度の効果が得られ、再発予防効果にも優れている。申請者は平成20年より難治性うつ病患者に対して積極的にCBTを導入し、治療成果をあげてきた。これまでうつ病患者の脳では構造・機能の面で様々な異常が指摘されている。だが、うつ病の治癒過程における中枢神経のメカニズムに関しては、十分に解明されたとは言えない。本研究では、京都大学医学部附属病院精神神経科のうつ病CBT専門外来で治療を行った大うつ病性患者を対象に、CBT治療により、抑うつ症状や社会機能がどのように改善するか、心理検査(ベックうつ病評価尺度(BDI-II)など)と複数のMRI撮像法(fMRI、81方向の拡散強調傾斜磁場による拡散テンソル画像、3D-MPRAGE画像)を用いて評価し、CBTの治療メカニズムや治療反応性に関与する脳機能を探索した。なお研究の実施に当たっては倫理委員会の承認を得、研究の主旨・内容を十分に説明し、書面にて同意を得た。データの管理に当たっては匿名性の保持に十分な配慮を行っている。 本研究を通して、CBTにより、抑うつ症状だけでなく、患者の社会機能や主観的幸福感が改善することが確認できた。また、fMRIにおいて、うつ病患者では、他者の痛みに共感している間の、左中部帯状回、右体性感覚野の脳活動が低下し、左下前頭回の脳活動が上昇していた。さらに、前部帯状回の脳活動は、その後のCBTの効果と関係があった。本研究により、CBTなどのうつ病治療を行う際に、共感性等の社会機能を評価することの重要性と、前部帯状回がCBTの治療予測に重要な領域である可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)