2012 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症死後脳における異常タンパクの半網羅的定量的プロファイル解析
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23791344
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
國井 泰人 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00511651)
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Keywords | 統合失調症 / 死後脳 / プロテオミクス / LC-MS/MS |
Research Abstract |
研究代表者は平成24年5月20に、米国国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health(NIMH))の留学より帰国し、福島県立医大において研究を継続した。 連携研究者である東北大学大学院薬学研究科大槻純男准教授(現熊本大学大学院生命科学研究部教授)に、福島精神疾患死後脳バンクの統合失調症サンプル10例と医療法人さわらび会福祉村病院長寿医学研究所の健常対照サンプル10例の前頭皮質を送付し解析を依頼した。ドパミン系・グルタミン酸系・GABA 系に関連する分子を中心として統合失調症病因に関わる可能性の高い分子を、既報の研究結果をもとに100種類以上リストアップし、108分子の比較定量解析の系を確立した。脳サンプルを分画して得られたCytosol fraction及びPlasma membrane fractionを構築した内標準タンパク質とともに測定した。Cytosol fractionの標的プロテオミクス解析では、非膜局在タンパク質80分子中27分子を検出、比較定量を行った結果、1分子において統合失調症群で有意な低下を示した。Plasma membrane fractionの標的プロテオミクス解析では、膜局在タンパク質57分子中32分子を検出、比較定量を行った結果、1分子において統合失調症群で有意な低下を示した。2DICLを用いたCytosol fractionの網羅的比較定量解析では、80960ピークを検出、8768ピークはタンパク質に同定された。また、300ピーク(214分子)は有意な変動が検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、平成24年度内に非精神疾患対照例及び統合失調症例各10例の死後脳サンプルに対し、既報の研究結果をもとに100種類以上リストアップしたドパミン系・グルタミン酸系・GABA 系に関連する分子を中心として統合失調症病因に関わる可能性の高い分子についての解析を完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成24年度までに完了した標的プロテオミクス及び網羅的プロテオミクスで統合失調症群で異常が見出された分子に関して、免疫組織化学的検討を行い、更に詳細のその異常を明らかにする予定である。研究成果は随時国内外の学会及び研究会、研究論文として発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当講座死後脳バンクには現在2台のフリーザーが稼動し約40例の死後脳を保管し、画像解析ソフトウェアを備えた顕微鏡システムやを免疫染色システム整備しており、それらのメンテナンスのため、年間200千円は必要である。また、これまでの実績等から考えて試薬消耗品だけで月に50千円、年間600千円の支出が見込まれる。研究成果の国内学会(50 千円×2 回、100千円)や国際学会(300 千円×1 回 300 千円)での発表のため、旅費(計400 千円)が必要である。 また、関心分子の網羅的定量解析を行った東北大及び熊本大両施設の人員が参加する検討会議(1 回5 千円×5 人 計2 回、50 千円)、また研究のための福島市から東北大及び熊本大までの旅費(1 人1 往復平均40 千円×2 人×5 回/年、400 千円)必要がある。本研究のデータは膨大であり、解析専用のパソコン(1台×300 千円)と関連ソフトウエア(250 千円)を用意する。
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