2011 Fiscal Year Research-status Report
ミクログリアの細胞機能調節によるアルツハイマー病治療の検討
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23791358
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
長野 貴之 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10368516)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | プロスタグランジン / 細胞死 |
Research Abstract |
アルツハイマー病患者の脳脊髄液中においてPGE2が増加していること、またアルツハイマー病モデルマウス脳においてミクログリアが増殖性を示していることから、PGE2のミクログリア生存に対する影響について検討した。培養ミクログリアの生存についてはMTT法で検討した。ミクログリアの生存率は10-6 M以上のPGE2の24時間処置により減少した。PGE2による生存率減少は、PGE2の受容体EP1-EP4の各アンタゴニスト、SC-51322、AH6809、L-798,106、GW627368Xの10-5 Mまでによる影響を受けなかった。一方、EP1アゴニスト17-phenyl trinor PGE2、EP2アゴニストbutaprost、EP4アゴニストPGE1 alcoholの各10-5 Mはミクログリアの生存率を減少させたが、EP3アゴニストsulprostoneの10-5 Mは影響を与えなかった。PGE2はPARPの分解を促進させたことから、アポトーシスによりPGE2による生存率減少が起こると考えられた。PGE2による生存率減少に、どのcaspaseが関与しているのかをcaspase阻害薬を用いて検討した。10種類のcaspase阻害薬(Z-VAD-FMK、Z-WEHD-FMK、Z-VDVAD-FMK、Z-DEVD-FMK、Z-YVAD-FMK、Z-VEID-FMK、Z-IETD-FMK、Z-LEHD-FMK、Z-AEVD-FMK、Z-LEED-FMK)を10-5 Mまで検討したが、どれもPGE2による生存率減少に影響を与えなかった。以上の結果から、PGE2によるミクログリアの生存率減少はcaspase非依存的なアポトーシスによるものであることが示唆された。今回の結果から、アルツハイマー病脳においてもミクログリアの増殖はPGE2により調節されている可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題では平成23年度において、細胞を用いた実験と動物を用いた実験を計画していた。細胞を用いた実験は順調に進展した。培養ミクログリアの生存に対するPGE2の効果を確認できた。動物を用いた実験に関しては順調に進展していない。その理由としては、本研究課題へのエフォート率が計画申請当初考えていたものより低くなってしまったことが要因として考えられる。本課題以外の職務である助教としての教育の責務において未経験の内容を行うことを当初より予定していたが、自分の想定よりも時間を多く必要とし、その結果、本研究課題への寄与が低くなってしまった。今回の経験を生かして、今後は時間配分についてもう少しゆとりをもった計画を立てるように改善したい。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の計画に基いて遂行していくつもりでいる。平成23年度に予定していたものの遂行できなかった実験から行っていき、できる限り計画に追いつけるように努力したい。ただし、本研究課題へのエフォート率が計画申請当初考えていたものに至りそうにない場合は、計画期間内で成果が上がりそうな、細胞を用いた実験に集中したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的には当初の計画に基いて使用していくつもりでいる。今後の研究の推進方策に従い、研究費も平成23年度未使用分から順次使用していき、できる限り計画に追いつけるように努力する。本研究課題へのエフォート率が計画申請当初考えていたものに至りそうにない場合は、細胞を用いた実験に集中したいと考えているが、この場合でも、平成23年度と同程度の研究費を請求したいので、研究費の変更はない。
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