2012 Fiscal Year Research-status Report
ミクログリアの細胞機能調節によるアルツハイマー病治療の検討
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23791358
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
長野 貴之 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10368516)
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Keywords | プロスタグランジン / ミクログリア / アポトーシス |
Research Abstract |
昨年度得られた結果のPGE2によるミクログリアのアポトーシスについてさらに詳細な検討を行った。 PGE2による細胞死はPARPの分解を伴うことから、アポトーシスであることが示唆されていたが、caspase非依存性のものであったため、本当にアポトーシスであるか確かめるためにDNA断片化が起こるか検討した。PGE2によりDNA断片化が誘導されたので、PGE2はミクログリアにアポトーシスを誘導していると考えられた。 次に、PGE2によるミクログリアのアポトーシスに関わる分子を見つけるため、様々な薬物の生存率に対する影響を調べた。生存率はMTT法により検討した。PGE2による神経細胞のアポトーシスに関与が報告されているGSK-3の阻害薬であるSB216367により、PGE2によるミクログリアの生存率の低下も抑制された。さらにGSK-3のリン酸化に関与する可能性のあるセリンスレオニンホスファーターゼの阻害薬であるokadaic acidによってもPGE2による生存率の低下が抑制された。一方で、チロシンホスファターゼの阻害薬であるorthovanadate、PGE2による線維芽細胞のアポトーシスに関与が報告され ているPTENの阻害薬であるbpV(pic)、ネクローシスの阻害薬であるnecrostatin-1、プロスタグランジントランスポーターの阻害薬であるbromocresol green、EP1のセカンドメッセンジャーであるCa2+のキレーターのBAPTA-AM、EP2の細胞内シグナルに関与するアデニル酸シクラーゼの阻害薬のSQ22536、EP4経路に関与することが報告されているPI3Kの阻害薬のLY294002は、いずれもPGE2による生存率低下に影響を与えなかった。 今回の結果から、PGE2によるミクログリアのアポトーシスにGSK-3が関与している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題では平成24年度において、細胞を用いた実験と動物を用いた実験を計画していた。 細胞を用いた実験は順調に進展した。PGE2による培養ミクログリアの細胞死にGSK-3が関与していることが示唆される結果を得た。一方で、動物を用いた実験に関しては順調に進展していない。その理由としては、昨年度同様に本研究課題へのエフォート率が計画申請当初考えていたものより低くなってしまったことが要因として考えられる。本課題以外の職務である助教としての教育の責務が、計画申請当初考えていたものよりも時間を多く時間を必要とし、その結果、本研究課題へのエフォート率が低くなってしまった。今後は時間配分についてもう少しゆとりをもった計画を立てるように改善したい。
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Strategy for Future Research Activity |
達成度は遅れているが、今後も基本的には当初の計画を遂行していくつもりでいる。 平成23、24年度に予定していたものの遂行できなかった実験から行っていき、できる限り計画に追いつけるように努力したい。ただし、計画期間内で成果が上がりそうな、細胞を用いた実験を主に遂行して行きたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた状況は、現在までの達成度がやや遅れているためである。 翌年度分の助成金と合わせた使用計画として、 今後の研究の推進方策で、平成23、24年度に予定していたものの遂行できなかった実験から行っていき、できる限り計画に追いつけるように努力することを計画しているため、次年度使用額と翌年度分の助成金を請求したい。
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Research Products
(1 results)