2011 Fiscal Year Research-status Report
AGERの機能解析とカルボニルストレス性統合失調症の病態解明
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23791368
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
宮下 光弘 (財)東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 研究員 (60532132)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 統合失調症 / esRAGE / AGER / カルボニルストレス / ペントシジン / RAGE |
Research Abstract |
AGERのresequenceによる変異・多型の同定については、期間内に全てのサンプルで解析を終了した。その結果、AGERに全部で40ヶ所の変異・多型を同定した。そのうち16ヶ所はCommon variantであり、24ヶ所はRare variantであった。また、16ヶ所の新規変異も新たに同定することができた。これらの変異・多型のうち、新たにプロモーター領域の63bpの欠失変異はesRAGEの血中濃度を強く抑制する他領域の二つの変異(rs17846798、rs2071288)と連鎖不平衡の関係にあることも明らかにした。また、intron1にあるSNPでは健常者においてマイナーアレルを有した場合にesRAGEの血中濃度が上昇することも発見した(in preparation)。統合失調症との関連解析においては、intron3にある2つのSNPのマイナーアレルの保有頻度が健常者で有意に高く、プロテクティブな因子であることを明らかにした。一方、intron8にある2つのSNPは統合失調症でマイナーアレルの保有頻度が有意に高く、リスク因子であることを同定した(in preparation)。終末糖化産物の一種であるペントシジンの血中濃度が高値である患者群と正常である患者群において、esRAGEの血中濃度に有意な差は認められなかった。カルボニルストレスを呈する統合失調症の臨床特徴については、カルテ調査、患者面談による評価を実施した。その結果、年齢・性別を調整した2群(ペントシジン高値群と正常群;健常者+2SDをカットオフ)において、ペントシジン高値群で発症年齢が有意に低く、罹病期間、入院期間は逆に有意に長いことを同定した。また精神症状をPANSSで評価した結果、ペントシジン高値群で有意に得点が高く、症状レベルでも重篤であることを明らかにした(in preparation)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度に予定していた計画は、AGERの変異・多型の同定、統合失調症との関連解析、ペントシジンなどの生物学的マーカーになり得る分子との関連解析、臨床データ整備の4つである。以上の計画は研究実績の概要に記載した通り、概ね計画通りに進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後について、同定した興味深い変異・多型の機能解析をH24年度中に実施する予定である。具体的には、RT-PCR、リアルタイムPCRを用いたmRNA発現解析やWestern blot法を用いたタンパク質発現解析などである。また、プロモーター領域の欠失変異については、時間が許す限りレポーターアッセイを実施する予定である。すでに、変異を有しているサンプルのリンパ球を株化し、mRNA、タンパク質を調整し始めている。カルボニルストレスを呈する統合失調症群の臨床特徴については、現在論文を執筆中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な物品費に関しては、研究実績の概要で言及した変異・多型の機能解析にあてることを計画している。具体的には、各種試薬、リアルタイムPCR用のプライマー作成、各種抗体の購入、細胞株化費用、消耗品の購入などである。旅費としては、2012年9月にフランスのナンシー市で開催される国際メーラード学会に英語でポスター発表する予定である。
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Research Products
(5 results)