2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23791372
|
Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
堀 弘明 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第三部, 流動研究員 (10554397)
|
Keywords | 統合失調症 / 統合失調型パーソナリティ / 認知機能 / 遺伝子多型 / CACNA1C |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、認知機能と遺伝子に焦点を当て、統合失調型パーソナリティ(SP)が統合失調症圏の患者から健常者へと連続的に分布することを実証し、統合失調症の病態生理解明に寄与するエビデンスを供することである。 最終年度は、まず、統合失調症では左利きや両利きが多くみられ、これが病態生理の一部をなしている可能性に着目した。SPも左利き・両利きと関連することが報告されているものの、巧緻動作課題を用いてこの関連を検討した研究は少ない。本研究では249名の健常女性を対象とし、質問紙を用いてSPを評価し、巧緻動作課題成績の左右差を調べた。SPは左手優位の課題成績と有意に関連することが明らかになった。 統合失調症と高い喫煙率との関連はよく知られている一方、SPと喫煙率との関連は十分に調べられていない。また、喫煙もSPも認知機能と関連することが報告されている。本研究では、501名の健常者を対象とし、SP、喫煙率、認知機能の間の関連を検討した。SPは高い喫煙率と関連した。喫煙者ではSPと注意・ワーキングメモリ成績が負の相関を示し、SPは喫煙と認知機能の関連を修飾する可能性が示唆された。 CACNA1Cの一塩基多型rs1006737は統合失調症と関連することが示されている。今回、この多型が統合失調症の中間表現型である認知機能に与える影響を調べた。リスクアレルを保有している統合失調症患者では、非保有患者に比べ、言語性記憶の成績が有意に低く、この多型は認知機能に影響を与えることで統合失調症と関連する可能性が示唆された。 これらの知見は、統合失調症とSPの連続性を支持するとともに、CACNA1Cが統合失調症の脆弱性遺伝子である可能性を示唆する。これらの一連の研究成果により、日本生物学的精神医学会の若手国際交流プログラムにおいて選出され、2012年台湾生物学的精神医学会にて招待講演を行った。
|
Research Products
(29 results)