2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23791376
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
NAM JinMin 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (60414132)
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Keywords | 放射線 / 乳癌 / インテグリン / 3次元培養 |
Research Abstract |
乳癌は、その原因となる分子や分子機序が多種多様であり、放射線照射による癌細胞への影響を含め、未だ明らかにされていない部分が多い。放射線療法による乳癌治療の際、悪性度の高い癌としての再発が問題とされるが、放射線照射によって誘導される癌の悪性化に関連した詳細な分子メカニズムは明らかにされていない。本研究では、乳癌細胞における放射線の影響とその分子機序を理解する事によって、放射線治療に適した乳癌を見分ける分子マーカーを同定し、さらに、放射線照射後の再発を防ぐための分子標的の候補を得るための知見を得る事を目的に解析を行った。 放射線照射後に、浸潤能が上昇する乳癌細胞を、細胞外基質の3次元環境で培養したモデルを用い、放射線照射後の浸潤能亢進に関連した分子の同定を試みた。乳癌の中でも、非浸潤性乳癌の3次元培養細胞モデルでは、放射線照射後に生き残った細胞において、浸潤能が増し、悪性度の高い形態が観察された。また、放射線照射による浸潤能亢進に、細胞接着分子インテグリンと転写因子NF-κBのシグナルが関与している事が示唆される結果を得る事ができた。さらに、放射線照射後に、特異的に活性化されるインテグリン関連の分子メカニズムを明らかにする必要があると考え、分子の網羅的解析を行った。その結果、放射線照射後の浸潤能上昇とインテグリンのタンパク質発現亢進に伴い、インテグリン制御に関わる複数の分子が連動して発現変化している事を見出した。 本研究により、乳癌への放射線照射後によって活性化され、悪性度の高い乳癌としての再発を制御する分子メカニズムの一端が明らかになった。詳細な分子メカニズムの全貌を解明するには、今後の解析が必要とされるが、本研究により得られた結果は、放射線治療効果を最大に引き出すための知見に繋がる可能性が期待できる。
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Research Products
(3 results)