2012 Fiscal Year Annual Research Report
スポット陽子線照射における体内金属マーカー存在下の照射精度向上に関する研究
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23791379
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松浦 妙子 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90590266)
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Keywords | 陽子線治療 |
Research Abstract |
北海道大学では、2014年に開始予定の陽子線治療において、既存のどの陽子線施設でも未解決であった「呼吸性移動腫瘍に対する高精度陽子線照射」の問題を、動体追跡スポット陽子線照射で解決しようとしている。この照射法では、腫瘍位置の正確な3次元的特定の為に患部に金マーカーを刺入し、X線透視で位置を確認しながら陽子線のスポット照射を行う。金マーカーは、腫瘍の位置決めには最適である反面、電子密度が高いために、ビームライン上に存在すると近傍の線量分布が歪められて腫瘍内に低線量領域ができてしまう、といった問題が指摘されてきた。そこで本研究では、近年増加傾向の目立つ前立腺がんに着目し、高精度線量計算法であるモンテカルロ法を用いて上述の線量歪みを正確に評価し、またこの問題の解決策を提案した。まず、金マーカーなどの不均質性の高い物質の存在下で、線量分布を高精度で評価するために、本学の陽子線ビームラインに合わせたモンテカルロ線量計算システムの構築を行った。次に、各サイズの金マーカーに対してファントムを用いたX線透視実験と線量計算、更に臨床指標評価を行い、金マーカーを用いた治療が成立するようなマーカーサイズと照射門数を明らかにした。その結果、1.5 mm直径の金マーカーであれば2門以上の照射門数で臨床指標低下を許容に抑えることが可能であるが、患者の体格によっては透視で見えない可能性があることが分かった。また、2 mm直径の金マーカーであれば、透視で十分に識別でき、3門以上の照射門数で臨床指標低下を許容に抑えることが可能であることが分かった。 本研究の結果は、第104回医学物理学会(つくば, 2012.9)、アメリカ医学物理学会(シャーロット、USA, 2012.8)で報告し、またMedical Physics 39(9):5584-91.に研究論文を掲載した。
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Research Products
(5 results)