2012 Fiscal Year Annual Research Report
無細胞タンパク質合成系を利用した新規ポジトロン標識タンパク質作製法の確立と応用
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23791387
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古本 祥三 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00375198)
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Keywords | 無細胞タンパク質合成系 / PET / イメージング |
Research Abstract |
本研究では、ポジトロン標識アミノ酸と無細胞タンパク質合成系を利用してポジトロン標識タンパク質を合成するという革新的なタンパク質標識法について、その実践的な方法論の構築とその応用性に関する潜在的可能性の検証を目的とする。本年度は、前年度の研究成果を踏まえて、フッ素18標識フロロプロリン(18F-FP)を利用したポジトロン標識タンパク質の合成を検討した。合成タンパク質は、抗EGFR一本鎖抗体であるMR1-1とした。無細胞タンパク質合成溶液にプラスミドDNA(200μg/mL)及び18F-FP溶液を添加して、37℃反応を行った。その結果、18F-MR1-1の合成収率は時間と共に増加傾向を示したが、その速度は非常にゆっくりで、合成開始60分後でも10%程度であった。この収率はFPの担体量に依存して変化することが明らかになった。一方、11C-メチオニン(11C-MET)を用いて同様の方法で11C-MR1-1の合成を試みたところ、合成開始後から収率は急速に上昇し、5分後で約36%となってその後はほぼプラトーな変化となった。この11C-MR1-1は収率良く得られたことから、エピトープカラムによる単離方法を検討したところ簡便で短時間に高純度(>95%)で精製できた。そこで精製11C-MR1-1を胆癌マウスに投与してPET撮像を試みたところ、投与60分後で腫瘍の描出に成功し、さらにPET撮像後に腫瘍と臓器組織を摘出して放射能分布を調べたところ、腫瘍筋肉比は約4となり腫瘍イメージングプローブとしての有用性が示唆された。以上の結果から、無細胞タンパク質合成系を利用してポジトロン標識タンパク質の合成法は、新しいタンパク標識法として十分応用できる可能性が見いだされた。
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Research Products
(3 results)