2011 Fiscal Year Research-status Report
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23791391
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
磯辺 智範 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70383643)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 核磁気共鳴画像(MRI) / 拡散テンソル画像(DTI) / 磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS) / 運動効果 |
Research Abstract |
国民的な健康意識の高まりの中、運動は健康維持や生活習慣病治療において最も重要な要素の1つである。より効果的な運動を施行するためには、個人の体力・運動能力・罹患疾患によって適切な運動内容を選択する必要があり、骨格筋に実際どの程度の運動効果を生じているのかを客観的に評価する方法を確立すべきであると考える。本申請者はMRIで骨格筋における運動効果を非侵襲的に評価することによって、より効果的な運動内容を選択し得ると考えている。 本研究は、骨格筋の磁気共鳴スペクトロスコピー(magnetic resonance spectroscopy:MRS)と拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging: DTI)により骨格筋に対する運動効果を組織レベルで多角的に評価する手法を確立し、適切な運動や運動療法処方に応用することを目的として研究を進めている。 平成23年度は、骨格筋で安定的にMRSおよびDTIの正確なデータが取得できるように撮像パラメータを最適化した。対象とした骨格筋は、上腕・前腕・大腿・下腿である。体格や職種などの個人差によるデータのばらつきを確認するため、20名の健常ボランティアデータを取得し、その解析結果をもとにパラメータの最適化を図った。MRSおよびDTIは、これまで主に脳神経領域において使用されてきたため、本研究の最終目標を達成するには、まずMRSとDTIを骨格筋に適応させることが必要となる。よって、平成23年度の研究で、骨格筋を対象としたMRSおよびDTIの撮像パラメータの最適化に成功した意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請者は、脳神経領域でMRSを専門とした研究を10年にわたって行った実績があり、その蓄積した知識と手法は本研究の骨格筋MRSにおいても活用できた。DTIについては、本申請者は日本放射線技術学会において「DTI取得条件およびFA値測定の標準化に向けた多施設共同研究」という課題で班研究を進めており、この知識を本研究の骨格筋のDTIにも十分活用することができた。 以上の理由により、本研究は申請通りに順調に進捗していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に最適化した撮像パラメータを使用して、実際に運動効果判定に応用する研究を行う。職種や体格などを考慮して3グループに分けた健常ボランティアに対して、上肢および下肢の骨格筋トレーニングを6カ月間継続して行わせ、MRSおよびDTIを用いて2週間ごとに追跡する。予備実験の結果から、データ測定のばらつきを考慮して1グループ15名、計45名(15名×3グループ)の健常ボランティアが必要と考えている。骨格筋トレーニング(運動負荷の量や内容)は、グループ間で異なる内容とする。MRSでは骨格筋細胞内脂肪(IMCL)と細胞外脂肪(EMCL)、DTIでは拡散固有値(ADC, FA, λ1-3)を計測する。この間1ヵ月ごとに筋力測定も行う。筋力測定には多用途筋機能評価運動装置を使用し、等尺性筋力および等速性筋力を測定する。運動内容とMRSおよびDTIから得られたIMCL・EMCL・拡散固有値を比較し、運動-効果-測定値の相関に関して検討する。 本研究において、運動内容およびその結果の検討は、撮像パラメータや解析手法と並んで重要事項である。したがって、運動内容の決定と評価においては専門家の助言が不可欠と考える。これに関しては、当大学院人間総合科学研究科スポーツ医学所属大学院生の森慎太郎氏に協力していただく。森氏は現役のスポーツトレーナーとして豊富なトレーニング知識があり、またDTIを用いた骨格筋疲労評価が主な研究テーマでもあることから、本研究の運動内容の立案や評価に適切な助言が得られると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費(400千円):MRSおよびDTIのより詳細な解析を行う目的で解析ソフトを最新版へアップグレードを行う。データ記録媒体など研究に必要な消耗品を購入する。旅 費(300千円):国内学会で1回、国外学会で1回の研究成果発表を予定している。学会への参加は、発表だけでなく、情報収集の意味を持つ。人件費・謝金(100千円):データ解析にあたっては、膨大な作業量となるため、研究補助員の人件費に使用する。また、健常ボラティアへの謝金にも使用する。その他(100千円):論文校閲、資料収集、通信費などに使用する。以上の直接経費900千円に加え、間接経費270千円の合計、1170千円で平成24年度の研究を進める。
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Research Products
(10 results)