2011 Fiscal Year Research-status Report
放射線治療による腫瘍特異的免疫の活性化に関する研究
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23791393
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
吉本 由哉 群馬大学, 医学部, 助教 (80594390)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 抗腫瘍免疫 |
Research Abstract |
本研究はヒトがんにおいて、放射線治療開始後に抗腫瘍免疫が誘導されることの立証を目的としている。対象とするヒトがんは本施設で多数の放射線治療経験がある食道がんとした。食道癌で高頻度に発現している腫瘍特異的なHLA拘束性抗原が複数知られており、そのような抗原に特異的なCTLについて検討した。CTLの検出は、患者より末梢血採血を行い、Ficol採血管を用いた遠心分離によりリンパ球を分離してELIspot assayにより行った。リンパ球の採取は放射線治療開始前、治療中、治療後、治療後一ヶ月と数回に分けて行い、経時的な活性の評価を行った。我々は小検討により、放射線治療により腫瘍特異的なCTLが誘導されることを見出した。これは現在までに知られていなかった重要な知見である。さらに、放射線治療による抗腫瘍免疫活性化のメカニズムとして、樹状細胞を活性化させるdanger signalタンパク質の関与が考えられた(論文投稿中)。また、放射線治療により抗腫瘍免疫が活性化するのであれば、放射線治療と免疫治療を組み合わせるという、新しいがん治療戦略が有効な可能性がある。そこでマウスを用いた動物腫瘍モデルにて、放射線治療実験を行った。その結果、放射線治療効果には、宿主の抗腫瘍免疫が関与していること、及び抗腫瘍免疫の強化により放射線治療効果が増強されることが示された。メカニズムの詳細については現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二カ年で100例の症例を集積する予定であったが、現在までに50例について検討した。その結果については論文投稿中である。臨床研究で導かれた結果より、動物モデルを用いた放射線治療実験を行った。現在までに、放射線治療と免疫治療を組み合わせる方法が有効である可能性を示唆する結果を得た。引き続き、抗腫瘍免疫が強化されるメカニズムについて検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
二カ年で100例の症例を集積する予定であったが、現在までに50例について検討し、その結果について論文投稿中である。引き続き症例を集積して、放射線治療により腫瘍特異的なCTLが誘導されることを確認する。また、抗腫瘍免疫が誘導されるメカニズムについて検討する。臨床研究で導かれた結果より、動物モデルを用いた放射線治療実験を行った。現在までに、放射線治療と免疫治療を組み合わせる方法が有効である可能性を示唆する結果を得ている。引き続き、抗腫瘍免疫が強化されるメカニズムについても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に引き続き、臨床検体からCTLを検出するための、試薬、採血管、免疫キット、動物実験のための実験動物、飼料など、細胞培養試薬など、成果発表のための旅費、動物実験補助や資料整理のための人件費(謝金)が必要である。なお、臨床検体からのCTL検出については一定の結論が得られて論文投稿中であるため、一カ年目に予定している症例の解析の一部を二カ年目に予定した。このことにより次年度使用額が発生した。
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