2011 Fiscal Year Research-status Report
放射線照射で誘導される骨髄細胞と小脳神経細胞融合の生理学的意義の解明
Project/Area Number |
23791395
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
神沼 拓也 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (60599538)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
【23年度に施行した研究の目的】白血病で全身放射線照射(TBI)施行後、男性の骨髄移植を受けた女性患者の約0.1%の小脳神経細胞(プルキンエ細胞)内に男性由来のY染色体が存在することが報告されている。その後の研究でこの現象は、血球系細胞がプルキンエ細胞に融合した結果であること、放射線照射の線量増加に伴い融合プルキンエ細胞数が増加することが明らかになった。しかし、この現象の生理学的意義は不明である。応募者はこの融合が傷ついた神経細胞を再生させる役割をもつのではないかと考えた。そこで本研究では、血球系細胞が放射線照射後のプルキンエ細胞の融合する生理学的意義を明らかにすることを目的としている。【23年度に施行した研究】野生型マウスへの血球系細胞の移植実験 GFP発現TGマウスから骨髄由来細胞を採取し、全身放射線照射、全脳放射線照射後の野生型マウスの静脈内に投与した。その後3カ月後までの間に段階的に屠殺を行い、GFP融合プルキンエ細胞の出現頻度を解析している。また、放射線照射の線量を5Gyから10Gy、20Gyと増加させて、融合プルキンエ細胞の出現頻度にどのような変化が見られるのかを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GFP発現TGマウスの繁殖が予想より遅れたことが原因の一因である。また野生型マウスに全身照射、全脳照射をした際に早期に死に至るものが多く、適切な照射線量及び照射方法を見出すのに時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型マウスへの血球系細胞の移植実験を以下の様に進めていく。まず移植されたマウスにGFP融合プルキンエ細胞がどれくらい出現しているか、その頻度を照射方法及び照射線量の関係から明らかにする。またその機能についてパッチクランプ法を用いて電気生理学的に解析(研究協力者が行う)し、融合していない周りのプルキンエ細胞と変化があるのかを明らかにする。さらに融合プルキンエ細胞の出現頻度と電気生理学的機能にどのような変化が見られるのかを検討する。さらに小脳障害マウスへの血球系細胞の移植実験を以下の様に行う。野生型マウスを用いた実験結果を参考にして、小脳変性マウスを用いた実験を開始する。まず小脳にきわめて障害が強いpolyQマウスを用いて研究する。移植後3か月間、2週間ごとに運動機能をRotarodテスト、フットプリント(歩行の様子を検査)を用いて評価する。3カ月後にsacrificeし、GFP融合プルキンエ細胞の出現頻度を調べるとともに、融合プルキンエ細胞の樹状突起の伸張障害、細胞内の凝集体蓄積に改善が見られるのかを明らかにする。さらに小脳スライスパッチクランプ解析を行い、機能回復が見られるのかを電気生理学的に検討する。次に比較的障害の出現が遅く、進行が緩やかなSCA1KIマウスを用いた移植実験をも開始する。余裕があれば、staggerer自然発生マウスを用いた研究も開始し、プルキンエ細胞の変性原因や程度の違いで、融合頻度に違いが見られるのかについても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記実験に使用する動物(ラット)の購入費や飼料購入費、抗体や細胞培養液などの試薬購入費、フラスコなどの消耗品に加え、実験補助員の人件費、書籍購入費及び旅費(国内1 回/年・海外1回/年)である。平成23年度では実験が予定通りに進まなかったため、動物購入や飼料購入、試薬購入を行わなかったが、平成24年度では実験を予定通りに行うため、それらの購入費用がかかると考えられる。
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