2012 Fiscal Year Annual Research Report
放射線照射で誘導される骨髄細胞と小脳神経細胞融合の生理学的意義の解明
Project/Area Number |
23791395
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
神沼 拓也 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (60599538)
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Keywords | 放射線 / 神経細胞 / ミクログリア |
Research Abstract |
【研究の目的】白血病で全身放射線照射(TBI)施行後、男性の骨髄移植を受けた女性患者の約0.1%の小脳神経細胞(プルキンエ細胞)内に男性由来のY染色体が存在することが報告されている。その後の研究でこの現象は、血球系細胞がプルキンエ細胞に融合した結果であること、放射線照射の線量増加に伴い融合プルキンエ細胞数が増加することが明らかになった。しかし、この現象の生理学的意義は不明である。応募者はこの融合が傷ついた神経細胞を再生させる役割をもつのではないかと考えた。そこで本研究では、血球系細胞が放射線照射後のプルキンエ細胞の融合する生理学的意義を明らかにすることを目的としている。 【施行した研究】成熟C57BL/6マウスとmurine stem cell virus-based retroviral vectorによりGFP標識を施した骨髄細胞を用いた。骨髄移植の前処置として、全身に3.9 Gyの照射(200kV X-ray, 1.3 Gy/min)を行った後、GFP標識された骨髄細胞を移植した。骨髄移植から4週間後、頭部追加照射群(n=5)には頭部に更に13 Gyを照射し、対象群(n=5)は照射せずに経過を観察し、頭部照射から8週間後、共焦点顕微鏡を用いて、小脳のBMDMの有無を観察した。尚、ミクログリアの標識にはIba1抗体を用いた。結果: 全個体において移植片対宿主病を示唆する所見は認めなかった。Iba1陽性ミクログリアは、全個体の小脳で広範に確認された。骨髄からの移行を示唆するGFP陽性細胞は、頭部追加照射群では小脳にびまん性に認められたが、対照群ではほとんど認められなかった。Iba1陽性ミクログリアに占めるGFP陽性細胞の割合(%)は、頭部追加照射群 対 対照群で33.0±3.8 % 対 2.0±2.3 %であり、統計学的有意差を示した(p < 0.001).
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Research Products
(3 results)