2011 Fiscal Year Research-status Report
肺腺癌の集学的診断法確立のための3次元画像解析法とそのソフトウェアの開発
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23791417
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梁川 雅弘 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00546872)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 日本 |
Research Abstract |
本研究は、国際新病理分類が提唱されるにあたり、肺腺癌の3次元的な画像評価を行うためのソフトウェアを開発することを第一の目的とし、最終的にその結果と予後因子との相関性を統計解析を用いて検討することである。1.CT画像データの抽出:当施設における2005年度から2010年度までの肺癌手術症例のうち、術後に肺腺癌の診断がついた症例の術前CTを見直し、各症例の0.625mm厚CT画像のDICOMデータを抽出することを行った結果、該当症例として145例の症例データの抽出に成功した。2.ORS visualを用いた検証:すりガラス成分の閾値の設定であるが、本研究では、申請者が行った先行研究(Lung Cancer.2010 Dec;70(3):286-94.)に基づき、大津の判別分析法を用いた閾値設定法を採用し、「すりガラス成分」と「濃いすりガラス成分」間の閾値を-547HU、「濃いすりガラス成分」と「充実成分」間の閾値を-291HUと定め、その基準値をプログラマーによりソフトウェアに反映させた。上述の145例とは別症例を使用して、病理学的非浸潤性肺腺癌(CT画像上は、視覚的に完全なすりガラス成分を呈する)に対してソフトウェアの性能評価を行った結果、すりガラス成分を3次元的に抽出することができた。ソフトウェアを用いた腫瘍検出の完全自動化を実現させるため、CT値のprofile curveを応用し、画像上で選択した腫瘍中心から360°方向にprofile curveを自動作成させるプログラムをソフトウェアに反映させた。これにより、腫瘍を選択するだけで、正常肺野から自動抽出させることが可能になった。更に、血管成分を除去するためのLine Filter(Med Image Anal 1998;2:143-168)法もソフトウェアに反映させ、評価実験症例にて、血管成分の抽出に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、CT画像データの抽出であるが、対象とする肺腺癌の画像のDICOMデータを抽出することができたため、本研究の一番の目的でもあるソフトウェア開発およびその評価を円滑に行っていけると判断する。ただ、上記の肺腺癌抽出症例の病理診断に関しては、血管浸潤、リンパ管浸潤、胸膜浸潤においてヘマトキシリンエオジン(HE)染色での検討はできているが、国際新分類に則った分類化に関しては、その途上であり、今後進めて行く予定である。次に、ORS visualを用いた検証であるが、すりガラス成分の閾値の設定、腫瘍検出の完全自動化に関しては、予定通りソフトウェアのプログラミング化および評価実験を実施できたと判断する。また、当初、次年度の予定としていた血管成分の除去に関するプログラミングにも成功しており、この点に関しては、予定以上の進捗と判断する。また、現時点で収集した145症例に対して、開発途上のソフトウェアではあるが、可能な限り、病変の抽出を行い、その評価結果(腫瘍体積ml、3次元的な充実成分の割合い3D%Solid、結節タイプ「限局性すりガラス結節、濃い限局性すりガラス結節、混在型、充実性結節」の自動分類)と病理学的予後因子(HE染色)との相関性について、探索的ではあるが統計的検討を施行済みである。以上より、本研究は、ほぼ順調に進行中と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
1.胸壁直下型の肺腺癌の検する為の方法およびそのプログラミング肺腺癌が、胸壁に接して存在する場合、腫瘍を自動検出する上で問題となるのは、腫瘍と胸壁の境界を決定する為の閾値設定である。腫瘍と胸壁のCT値は、類似した値を呈することも多く、胸壁に広く接する腫瘍であれば、上手く腫瘍のみを抽出できない恐れがある。このため、当初の予定どおり、胸壁に広く接した症例に関しては、胸郭全体から肺野部分をまず切り出し、その後、切り出した肺野に含まれる腫瘍部分において、昨年度に開発したソフトウェアで病変抽出を行えるかを検討する予定である。また、この研究計画を推進するにあたり、胸壁に接した症例の画像のDICOMデータを抽出することと、胸壁浸潤をきたしている症例の画像のDICOMデータ抽出が必要になると考えている。2.予後因子を含めたソフトウェアの検証最終的に使用する対象症例の病理学的な血管浸潤、リンパ管浸潤、胸膜浸潤に関して、HE染色のみならず、免疫染色法(血管マーカーとしてCD31、リンパ管マーカーとしてD2-40を使用することは決定済み)を加えて、その詳細な評価を行い(当院病理医の協力を得て行う)、上記のソフトウェアから得られた3次元解析の結果との相関性を多変量解析を用いて検討する。また、追加検討として考えているものは、5年生存率、5年無病生存率のデータが入手可能な症例においては、出来る限りその調査を行い、今回のソフトウェアによる画像解析データと生命予後との相関性も検討する予定である。 尚、最終的には上記のデータをまとめ、論文化することを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【設備備品】昨年度と同様に、当施設でのCT画像はフィルムレスであり、全てサーバーに保存しているため、CTデータを抽出・保管用する為のハードディスク、USBストレージ、DVD等の記録メディアを必要とする。【国内旅費】本研究に関する国内学会(放射線学会、肺癌学会)での情報収集やコンピュータープログラマーとの打ち合わせ(東京)、および本研究の成果を発表する為の出張旅費を必要とする。【外国旅費】本研究に関する国際学会(北米放射線学会RSNAなど)での情報収集、および本研究の成果を発表する為の出張旅費を必要とする。尚、昨年度の繰り越し金に関しては、国内外旅費に割り当てる。【謝金など】本研究はコンピュータープログラマーおよび病理医の協力を必要とするため、その専門的知識の提供を受ける為、謝金を計上した。その他、印刷費や最終年度のまとめとして英語論文化する際の校閲費を必要とする。
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[Presentation] Three-dimensional (3-D) quantitative analysis of preoperative CT images in pathological stage I pulmonary adenocarcinomas: Correlation with prognostic factors.2011
Author(s)
Yanagawa M, Tanaka Y, Morii E, Inoue M, Gyobu T, Kawata Y, Kawai M, Sumikawa H, Koyama M, Honda O, Johkoh T, Okumura M, Tomiyama N
Organizer
Radiological Society of North America 97th Scientific Assembly and Annual Meeting (RSNA 2011)
Place of Presentation
Chicago, U.S.A.
Year and Date
Nov.26-Dec.02, 2011
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